ドイツ連邦鉄道 DB 支線用ディーゼル機関車 V 65 008 (ROCO 63940)

 今回は1950年代にDBが製造した支線用ディーゼル機関車 BR V 65について、紹介いたします。

 DB BR V 65は、キールのMak (Maschinenbau Kiel) 社が私鉄向けに製作したDL 600Dの改良型の支線用DLです。

 一見入換用に見えますが、暖房用のボイラーを搭載した支線用の客貨両用の機関車として作られました。

<V 65 主要諸元> 

 バッファ間距離:10.74m、運転重量:54.0t、軸配置:D、軸重:15.4t、出力:552kW (650PS)、原動機:1台、ロッド式駆動、動輪径:1,250mm、最高時速:81km/h、入換時:41km/h

  1956年に15輌が製造されました。

 1950年代半ば、DBは支線の軽旅客及び貨物列車用で、関連する軽入換も行うディーゼル機関車を必要としました。

 Osnabrücker Dampflokfreunde e.V.のHPには、BR 86とBR 93の代替用との記載もありました。

 この機種については、DBは独自開発を行わず、MaK社が開発した私鉄用DL 600D形を一部改良採用することにしました。

 本機は、出力650PS、本線最高速度 81km / h、入換 43 km / hの設計により、支線の運用をスムーズに行うことが出来ました。

 V 65とは650PSから来ているのですね。

 BR V 65は1956年にMak社で15両が作られましたが、その直後、導入車両を標準化するようにDBの方針が変わり、支線用にもBR V 100 (1000PS) が導入されることになったため、それ以上の生産は行われませんでした。

 理由として、V 65は本線で使用するには、低出力で暖房能力が低く、そしてロッド式駆動採用による、最高速度 81km/hが仇となったようです。

 製造された15両は、当初、マールブルク/ラーン地域の支線運用で客車列車を牽いていましたが、上記の通り、1961年末から、より強力なBR V 100と交代し、ハンブルク-アルトナへ移転しました。

 ここでは入換や軽旅客列車の運用に従事しました。

 また最大4両がプットガルデンに配置されたBR V 36と交代し、フェリーステーションに配置されました。

 また、1968年のコンピューターナンバー化により、BR 265となっています。

 しかしながらBR V 80同様、Spltterguttung(少数派)の本機は、DBでの寿命は短いものでした。

 最後の一両BR 265 004-2が、誕生から24年を経過した1980年10月に引退しています。

 廃車後に001、004が私鉄へ売却、011がDBの博物館機関車として指定されました。

 2021年現在、001が上記、Osnabrücker Dampflokfreunde e.V. の手によりエンジン交換などの3年間にも及ぶ大修理の結果、美しい姿で動態保存されている他、011がDBから他の博物館 (2021年時点ではhistorischer Eisenbahnfahrzeuge Koblenzに貸与されているようです。

 以上、EK 60 Jahre Baureihe V 65 の記載を中心に、Osnabrücker Dampflokfreunde e.V.のHP、Wikipedia 独語版 DB-Baureihe V 65Rangierdiesel V 65の各記事を参照させていただきました。

 なお、これらの記事には互いに相反する事象も書かれていましたので、付言しておきます。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、15両しか作られなかった少数派なので、HOの量産品は今まで2種類作られただけです。

 最初に作られた量産品は、Hobby Trainの1990年の製品になります。

 なんと我が国KATOの製品です!

 しかしながらこの製品は幻と言ってもよいほど珍しいもので、KATOの古いカタログに載っていましたが、全く見たことはありません。

 価格も確か、25,000円!?と当時としても破格のものでした。

 とは言ってもKATOの欧州向け製品は、SBBのEe 6/6なども異常に高かったですけど。

 そんなわけでV 65の一般に流通した量産製品は、こちらで紹介する2004年のROCO製品が唯一のものです。

 008号機は最初に発売されました。

 ROCOのダメ箱に入れるため、手すり等は取り付けていません。

 ご覧のように2000年代のROCO製品らしく、繊細な出来ですね。

 ボンネット上部のヘッドライトなど、配線も含めよくできているように思います。

 黒染め車輪やスッキリしたロッドは2000年代製品ですね。

 デッキのヘッドライトはすごいと思います。もちろん点灯します。

 右端の潤滑ポンプのロッドもきちんと可動します。

 ボンネットへのはしごは何のためにあるのでしょうか?

 レタリングやクリーム色の細線もきれいですね。

 至って普通の出来のように感じますが、これでいいと思います。

 BR V 65のキャブは他のDLとは全く違う形状をしているのが面白いですね。

 Mak社のカラーかと思いましたが、V 100もMak社が開発に関係していますし。

 ロッド式のDLとしては、入換専用機のV 60が900両以上という大量生産されましたが、低速機だからでしょうね。

 本機の最高速度80km/hくらいが、動輪径1,250mmの上限だったようで、これ以上の速度を求めようとしたらもっと大径の動輪が必要だったとの記載が、上記、Osnabrücker Dampflokfreunde e.V.Osnabrücker Dampflokfreunde e.V.の記載にありました。

 ワイパーの別パーツ化はとても有効ですね!

 クリパーツの透明度も悪くないと思います。

 V 65のキャブは前後対称に見えます。

 走りの方は静かですが、ロッド式ゆえ、やや揺れます。

 Modellbau-Wikiの記載では、ROCOのV 65は2004年以降、何度も作られていることになっていますが、私は全く見たことがありません。

 もっとも最近の製品は、その傾向が強い気がします。

 やはり1種類あたりの生産量が少ないのでしょうか?

 それはともかく、Ep.3時代のローカル線客貨両用に使えるV 65は、ぜひコレクションに加えたかった一台で、入手できたのはとてもラッキーでした。

2007/11/27 入線


2021/4/10 記

 

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