ドイツ連邦鉄道 DB 入換用ディーゼル機関車 V 60 882 (ROCO 43620)
今回は、ドイツでもっとも大量に作られたディーゼル機関車 V 60を紹介します。
V 60は西ドイツ国鉄が1950年代に開発した入れ替え専用の小型ディーゼル機関車です。
<V 60 主要諸元>
バッファ間距離:10.45m、運転重量:48.2-49.5/53.0t、軸配置:C、軸重:16/18t、出力:478kW、原動機:1台、ロッド式駆動、動輪径:1,250mm、最高時速:60km/h、入換時:30km/h
1955年から1963年までの間、各形合計 942輌が製造されました。319輌は重量形です。
この数字はKÖFを除き、ドイツのDLでもっとも多い両数です。
車番:V 60 001-1241 空番あり。
1949年の発足当時、西ドイツ国鉄DB では入換用の小型ディーゼル機関車が非常に不足していました。
そこで早くも1951年から開発が開始され、1955年に試作車4両が完成しました。
量産と並行して、複数のエンジン、トランスミッションの評価も行われましたが、引き続き、マイバッハ製のエンジンが採用されることになりました。
これらの試作機も標準型に更新され、改番されたようです。
V 60の一部の機関車は補強された台枠を持ち、運転重量53tに強化されましたが、特に改番されなかったので、車番から区別することは出来ませんでした。
また軽量型は構造に弱いところがあり、補強工事が実施されています。
1968年からのコンピューターナンバー化により、48tの軽量形618輌がBR 260、53tの重量形322輌がBR 261となりました。
これらには外観上の差異はないと思いますが、ご存じの方がいらっしゃいましたら、ご教授お願いします
約25年間の運用後、後継機BR 259(複数タイプあり)の導入が検討されましたが、採用されることはなく、BR 260/261が引き続き、運用されることになりました。
DBは早くも1962年から本機の無線操縦による無人化運転をV 60 042/043でテストしました。
この結果、重入換機V 90等にこの装置が導入されましたが、1984年に小型の無線操縦装置が3輌のBR 361に搭載され、テストされました。
結果が良好だったため、1987年より多くの機種に無線操縦装置の搭載が進められ、軽量形がBR 364、重量形がBR 365に改番されています。
無線操縦型は制御装置等に大幅な改造が加えられましたが、もう一つの特徴として自動連結装置が搭載されています。
この装置は無線操縦改造を行わなかった機種にも搭載されました。
しかしピンリンクの自動化は、難しかったでしょうね。
1997年以降、残っていた機種のマイバッハエンジンが465 kW(632 hp)のCaterpillar 12気筒エンジンに交換されました。
この改造は無線操縦対応機のみ実施され、BR 364→BR 362、BR 365→BR 363に形式変更されています。
入換専用機V 60は942輌もの大量が生産されました。
この数字は鉄道の主役が客貨車であるドイツならではと思います。
ドイツの主要駅では必ず見かけるような存在でした。ただし私は見なかったですけど。
なお、少数ですが小貨物列車や客車列車も牽いたようですね。
ただし列車暖房装置がないので客車は夏季だけでしょう。
またベルギーやノルウェー等、多くの外国でも使われました。
V 60は誕生から半世紀以上が経過した現在もDBAGで少数が使われている他、貨物会社等に売却された機種がまだ現役で活躍しています。
まさしくDBを代表する小型DLと思います。
以上、Wikipedia 独語版 DB-Baureihe V 60より引用、参照しました。
それで模型の方ですが、誕生がHOの勃興期であったこと、小型で扱いやすい機種であることから、多数のメーカーが模型化してきました。
Modellbau-Wiki によりますと、一番古いのが、1959年のFleischmann 1380です。
これは見たことがないのでよくわかりません。
2番目は1968年のMärklinです。
この製品は改良を重ねながら長期に渡り生産が継続され、なんと2014年!まで新製品が発売されています。
これはギネス級ではないでしょうか?
最も初期と後期の製品では、車輪も違うようですし、塗装や仕上げには雲泥の差があるように感じます。
ただしブリキ製の平板状な手摺や屋根上に露出したネジは昔のままですね。
私も持っているので、いずれ紹介したいと思います。
なお、Märklinの初期製品は下地処理が悪いのか、塗料が悪いのかわかりませんが、特に屋根の銀色が剥がれ落ちてしまう欠点があります。
3番目は1968年の同じFleischmann 1379です。
この製品も大変な長寿命でなんと2004年まで作られました。
欧州型製品(なかんずくFleischmann)は寿命の長い製品が多いですが、技術が飛躍的上昇していく中にあって、異常な製品寿命と思います。
こちらも時代相応の出来であり、平板状の手摺やスケールなど、やや不満の残る出来だったように記憶しています。
その後、1975年にJouefが模型化しましたが、生産は限られたようで、Modellbau-WikiにはSNCB版の記載しかありません。
そこでWeb検索を行ったところ、こちらにマルーンのBR 260 300-9 品番 8528と、タルキスのBR 260 909-7 品番 8533が存在しているとの記載がありました。
そう言われてみると、なんとなく見たような記憶もありました。
いずれにしても 欧州型の常で、先行品があるとなかなか次が出ません。
その次はこちらで紹介する1989年のROCOです。
なおその後、ESUがデジタルフル装備を2013年に、そしてDB標準軌を矢継ぎ早に模型化しているPikoが2019年に新発売しております。
ただし、これらは実際に見たことがないので、よくわかりません。
ということでこちらで紹介するROCOは、1989年の初回開発です。
基本的に同じものが最近でも作られております。
こちらのV 60 882は1995年の製品のようです。
ROCOのV 60は初めて現代のグレードで製品化されたHOと思います。
先行ドイツ2社は初回発売が1960年代ですので、例えば手摺が平板であるところ、このようにシャープな物となっておりますし、各部のディテール、デッキ、ロッドや動輪も細かく再現されています。
このような小型機には車輪の黒染めが特に有効ですね。
またロッドピンは六角ナットが使われるところ、プラの成形品なので実感に優れます。
プラの手摺はシャープですが、無くしそうなのとどうしても変形してしまいます。特にオリジナルの箱はだめですね。
標記類も大変細かくなっています。
輪芯がプラなのは残念ですが、この角度から見ると、ジャック軸や車輪のカウンターウェイトが実感的に再現されていますね。
窓ガラスもいい感じです。
Märklinの窓ガラスは経年で黄変してしまうことがよくありますが、こちらは今のところ大丈夫です。
2位側の上部前照灯の配線まで再現されています。
運転室裾窓や機関室ゴム縁など細かいですね。
前面のライトもとても細かいですし、きちんと点灯します。
今の製品はLED化されているのでしょうね。
屋根上のアンテナ類も細かいです。
走りの方は、先行ドイツ二社がギアー音を響かせ豪快に走ると言った感じでしたが、こちらは至ってスムーズで静かです。
ただし、こちらはやや揺れるのが残念ですけど。
さて、私的にこの製品の最大の問題は、1990-2000年代製品の共通大欠点である塗装の弱さです。
案の定、こちらも2位側ボンネット上にやや発泡スチロール痕がついてしまいました。
これは箱を変える以外に対策がありません。本当に困りものです。
それはともかく入換機ですが、なかなか可愛らしい本気、是非いかがでしょうか?
とは言ってもなかなか中古は見ないですけどね。
2005/7/20 入線
2021/4/4 記
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