ドイツ連邦鉄道 DB 本線用ディーゼル機関車 BR V 200 035号機 (ROCO 43522)

 今回は、ドイツ連邦鉄道 DB を代表的する本線用ディーゼル機関車 BR V 200を紹介したいと思います。

 BR V 200は1950年代の動力近代化にあたり、ドイツ連邦鉄道 DB が開発した液体式本線用大型ディーゼル機関車です。

 1950年代を代表するDBの顔と言っても過言ではない、代表的車両と思います。

<BR V 200主要諸元>

 バッファ間距離:18.53 m、運転重量:73.5 - 81.0 t、軸重:18.4 - 20.3 t、軸配置:B' B '、連続出力:1,618 kW、原動機:V形 12気筒ディーゼル×2、動力伝達:油圧式、最高速度:140km/h、動輪径:950mm、蒸気暖房搭載

 1953-1958年の間、合計86輌が製造され、1984年まで使用されました。

 以前も記した通り、内燃機関の鉄道への応用は、戦前より各国で種々試みられてきましたが、変速機が難しいため、動力を直接取り出す方式は小型機に限られていました。

 主力は内燃機関で発電機を回し発電し、その電力でモーターを回す電気式でした。

 この代表格はすでに戦前より開発され、北米大陸で大発展を遂げたディーゼル機関車ですが、ドイツでも有名な高速気動車SVTフリーゲンダー・ハンブルガーは電気式でした。

 電気式には速度・出力制御がし易く、総括制御が簡単という特長がありますが、他方、エネルギー効率が低く、また電動機と発電機の両方が必要となるため大型化、大重量化となってしまう問題点もあります。

 故に燃料費が安く、また許容軸重が大きくて、線形の有利なアメリカで大発展を遂げたわけですが、制約の多いヨーロッパや日本では問題がありました。

 しかしながら大馬力エンジンに対応する液体変速機の開発は困難であり、国鉄はDF50に電気式を採用しましたし、欧州各国でもフランスやオランダなど電気式が主体の国も多いです。

 KATO製品でも有名なNOHABはEMD設計のスウェーデン製の電気式ですが、ノルウェー国鉄、デンマーク国鉄、ベルギー国鉄、ハンガリー国鉄でも使われました。

 一方、1949年に発足したドイツ連邦鉄道 (DB)は、動力近代化のため急行旅客および貨物列車運用に、世界に先駆けて液体式4軸、最高速度140km / hディーゼル機関車を計画しました。

 必要な出力が約2000hpとなったため、DBは機関車をV 200として指定しました。 V 200はBZA ミュンヘンとレオパルト戦車で有名なKrauss-Maffei社 (以下KM社) が協力して行いましたが、当時、強力なディーゼルエンジンが利用できなかったため、2個エンジンを採用しました。

 BR V 200は、KM社とMak社で作られましたが、正面のV字の角度が違うことで見分けられるとの記載が各文献に載っていました。

 こちらの035号機はKM製ですので角度が急ですが、Mak製は角度がゆるいそうです。

 もっともこの見分けが明確にわかる写真は見つけられませんでした。

 試作車は1953年に完成し、その年に開催されたミュンヘンでの「ドイツ交通展示会」に展示されました。

 しかしながらDBは、このような大型の本線用ディーゼル機関車の経験がなかったため、1953-1954年にKM社で作られた5輌の試作機を用い、広範な運用試験を実施しました。

 試験はドイツのみならず、トルコ、ギリシャ、ユーゴスラビアでも実施されています。

 本機の量産は1956年に開始され、1959年までに合計 86輌が製造されました。

 具体的には試作機001-005までの5輌と、量産型026-086までの61輌がKM社で、量産型006-025までの20輌がMak社で製造されました。

 なお、全てのBR V 200には総括制御とWendezug運用な可能な制御装置が装備されています。

 液体変速機には当初、トラブルが続出したようですが、やがて克服するとBR V 200はDBの動力近代化の代表格として、全国の非電化区間で大活躍しました。

 結果的に、BR 01、03、05を追放することになったのは、日本のDD51と一緒ですね。

 最初、本線の優等列車に充当されましたが、日本と同様、幹線電化の進展により、やがてローカル線や貨物運用に使用範囲が広がっていきました。

 他方、DBの急行列車が120km/hから140km/hへスピードアップし、また列車の長編成化が進むと、BR V 200には無理が生じ、故障が続出するようになりました。

 また明らかな馬力不足が顕在化したので、動力を2,700PSに向上したBR V 200.1(後の221)形が50輌製造されました。

 識別するためでしょうか、V 200からV 200.0となっています。

 またBR V 200.0は、1968年のコンピューターナンバー化により、BR 220になりました。

 BR V 200はドイツのみならず、日本を始め、世界中に大きな影響を与えました。

 同系機として、スペイン国鉄RENFEの4000形(340形)、イギリス国鉄のWarship Classが製造された他、V 200の技術を転用した液体式ML-2000が電気式DLの聖地とも言えるアメリカに輸出されたほどでした。

 このようにエポックメーキングとなったBR V 200ですが、その後、開発された強力なエンジンを装備する1個エンジン機に比べると、2個エンジンのため保守の手間が大幅にかかること、また列車暖房が蒸気式で、電気暖房対応ができないことが仇となり、1978年から引退が始まり、1984年に最後の一台が引退しています。

 その後、SBBやイタリア、シリアやサウジアラビアに売却され、活躍しました。

 現在でも貨物会社で運用される機種があるくらいです。

 ただし、DBの指定動態保存機V 200 002は、各地で大活躍しておりましたが、2015年11月に発生したニュルンベルク機関区の大火災により、惜しくも炎上してしまいました。

 あまりにもひどい状態であったため、そのままスクラップとなってしまいました。

 以上、Wikipedia独語版 DB-Baureihe V 200、ESU Baureihe V200 in H0 より、引用、参照いたしました。

 特にESUの記事からは多くの情報を得ることが出来ました。この場を借り、感謝申し上げます。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、やはりエポックメーキングな車輌だけに、各スケールで多数モデル化されております。

 HOに限ってみても、

 Märklin初代  1957-1989年
 Fleischmann 1958-1968年
 TRIX 1958-1975年
 Piko(東独) 1958-1968年
 Lima 1977-89年
 ROCO 1985-
 ROCO V 200.0 2004- 
 Märklin二代目 1997-
 TRIX二代目 2003- メルクリンと同じ製品
 Piko 2013-

と実に多数が発売されております。

 長年生産されているものは、途中で改良されているものが多いです。

 それでこちらで紹介するROCO製品ですが、1985年の初回生産で、2010年代に入っても改良を重ねられて生産されていると思います。(最近の生産品は直接見たことがないので詳しくはわかりません)

 私のコレクションの中では、もっとも古い方に属します。

 上記の通り、この製品が発売された時点では、入手可能なV 200はメルクリンの初代製品しかありませんでしたので、出来の良さは際立っておりました。

 私は渋谷時代のチムニーに通いだした1985年か1986年に購入しました。

 もう随分と昔の話ですが、1万8千円だったこと、そして先代の店主 伊藤さんから「KATOの人がこれを見て、この価格でこの出来はとても実現できない」という話をお聞きしたのは、あれから30年以上経過した今も明瞭に記憶しております。

 車体はプラですが、どこかの模型店が評したのとは異なり、プラっぽくはないですね。

 ただし、塗装自体は今の製品と比べると、レベルが落ちます。

 まだDB Kekの制定前だったため、側面に "Deutsche Bundesbahn" の文字が入っています。これは001-055号機までで、1959年に作られた056号機以降は鋳物のDB Kekが取り付けられました。

 なお、055号機以前についても、1960代半ば以降、整備時にこの文字が取り外され、DB Kekに変わっています。

 なお、DB Kekについては、こちらも参照ください。

 走りの方は力もあり、悪くないと思います。

 ただし、今のものと比べると静かではありません。

 今は使われなくなった円筒形の両軸大型モーターで駆動しています。

 この当時のROCOですので、灯火類は暗いです。

 屋根上のネジでボディを止めているのは、同社製品ではBR 103旧製品くらいで、例があまりないような気がします。

 紛失するので別付け部品は取り付けていませんが、ランプ掛け、手摺などが付属します。

 運転室ドアの手摺はこの当時としては珍しい金属線です。

 特徴的な前頭部。

 私的にはよく似ていると思います。

 しかしこちらによりますと、ROCOのV 200は運転室側面窓の高さが低いそうです。

 言われてみると、確かにその通りかもしれません。

 特に下の写真でそのように感じますね。

 ところでBR V 200の出力強化型V 200.1 (BR 211) は、側面の窓が真ん中に一つであることが見分けるポイントですが、実は前面形状が違うのですね。

 V 200.1に比べると、V 200の方が丸っこく、傾斜しているのです。

 日本人が思い浮かべうるドイツものって、四角いですよね。

 でも、四角いのはフランス系です。

 車もシトロエン系には2CVやHトラックなど四角いのがありますし。

 その点、V 200やビートルは丸っこいですよね。

 ROCOのこの仕様は、Ep.3の1等車2~3両+食堂車のF-ZugやUIC-XのD-Zug、またはMitteleinsteigwagenのWendezugなどが似合いそうですね。

 この時代、貨物はそれほど牽かなかったようですが、模型では面白いかもしれません。

 私はこのスタイルが大好きで、また、V 200/V 200.1は他にも優れた模型に恵まれていることから、うちにも何両か在籍しております。

 ROCOの035号機は、その中で一番古い一台で、我が家の動力車ではもっとも古い部類に属しますが、これからも大切にしたいと思います。 

 と同時に、塗装のグレードが上がった最近のROCO製品も欲しいですね。

1985年入線


2021/4/10 記
2023/7/19 写真追加・更新

 

 

 

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