ドイツ連邦鉄道 DB 汎用ディーゼル機関車 BR 280 007-6号機 (ROCO 63381)

 今回はドイツ連邦鉄道 DB の黎明期の汎用ディーゼル機関車 BR V 80について紹介します。

 BR V 80はドイツ連邦鉄道が最初に開発した、液体式の汎用ディーゼル機関車です。

<BR V 80主要諸元>

 バッファ間距離:12.8m、運転重量:58.0t、軸配置:B'B'、軸重:14.5t、出力:810kW、原動機:1、駆動方式:液体式、最高速度:100km/h、動輪径:950mm

 1951-52年の間、Krauss-Maffei、Makにより、001-010の10両が作られました。

 なお、001-005がKrauss-Maffei、006-010がMak社製です。 

 BR V 80は1949年に発足したドイツ連邦鉄道 DB が計画した汎用DLです。

 ドイツは戦前の時点でディーゼル機関を実用化し、SVTシリーズの高速DC(いわゆるフリーゲンターハンバーガー)や国防軍の列車砲用大型DL D.311を実用化しておりました。

 ただし、これらはいずれもアメリカでよく採用されている電気式(ディーゼルエンジンで発電し、モーターで駆動する)でした。

 電気式は制御が楽という利点のある一方、燃費が悪く、エンジンとモーターの両方を搭載する必要があるので、大型化しやすいという問題もあります。

 そのためかBR V 80は世界各国が開発を競っていた液体式を採用しました。

 液体式の先駆者はドイツと日本ですが、日本での液体式の嚆矢はDD 11ですから、3年くらい早かったことになります。

 BR V 80はDBのミュンヘン連邦鉄道中央局 BZA と Krauss Maffei 社により、共同開発されました。

 入手可能なエンジンを用い、また構成等にも成約があったようです。

 完成した機関車は中央に運転台を持ち、前後に長いボンネット、その片側には暖房用ボイラーを設置しています。

 この特徴的なスタイルから、「Uボート」というあだ名が付いたのだとか。(Wikipedia 日本語版の記載)

 しかしながら先駆者ゆえの宿命と言うか、制限の結果と言うか、運用実績は満足できるものではなかったようで、本線機としては「非力」で、入換機としては「複雑」というのがBR V 80の評価でした。

 結果として製作はわずか10台にとどまりました。

 V 80の前面には小さな扉がついています。

 車内を通ってこの扉に出ることが出来たそうで、ドイツのDLとしては他に類のない構造とのことです。

 BR V 80は、当初、フランクフルト(マイン)及びバンベルクに配属され、主に支線の近郊客車に使われましたが、1963年以降、全ての機関車がバンベルクに集められ、バイエルン北部の多くの支線で旅客および貨物列車の運用に従事しました。

 Youtubeの動画では、Umbauwagenの3軸車を牽いておりました。

 しかしながら、1970年代に入ると、支線の廃止、また本機はSplittergattung(直訳すると破片形式だが、少量しか生産されなかった形式?)故に、整備性や部品など運用にコストがかかることもあり、後継機V 100シリーズと交代し、1976-78年に全車が廃車になりました。

 その後、V 80 002を除く全車が、私鉄やイタリアへ売却されました。

 V 80 002は再整備の上、DB Museumの動態保存機として、1985年のドイツ鉄道150周年パレードをはじめ各地で活躍してきましたが、2005年10月に発生したニュルンベルク機関庫大火災で被災し、全焼してしまいました。

 このとき、被災した貴重な動態保存車両にはBR 01 150、BR 50 622のように外観だけは復活できた機種もありましたが、本機やBR V 200 002などはあまりにも状態がひどく、そのままスクラップになってしまいました。

 幸いなことにイタリアに売却されたV 80がまだ残っておりましたので、DB Museumは2008年にイタリアに残っていたV 80 005をBR 216との交換の形で入手し、2013年までマイニンゲンで復元作業を行いました。

 本機は2021年現在、BR 280 005-0として、美しい姿で静態保存されています。

 その他、V 80 001が2005年に個人により、また007が2013年に博物館により、イタリアからドイツに帰国しているようです。

 以上、Wikipedia 独語版 DB-Baureihe V 80DB Museum Baureihe 280Rangierdiesel.de より、引用、参照いたしました。

 このようにBR V 80は必ずしも成功作ではありませんでしたが、本機の実績や経験はDB(だけではないが)におけるDL開発の非常に大きな資産となり、その後、液体式DLが花開くきっかけとなったと言われています。

 Youtubeにも ”Die Baureihe V 80 die Mutter aller DB Dieselloks.” なる動画が上がっていたくらいです。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、BR V 80は今までいくつもの製品が供給されてきました。

 一番古いのが1959年のHamoです。

 今回はじめて知ったのですが、Hamoとはニュルンベルクにあったメーカーで1952年に創立しましたが、1963年には閉鎖されました。

 ただし、メルクリンがパートナーとなって生産が継続されたようで1966年から同社の二線式バージョンがHamoとなります。

 その次が1979年のLima (1626)です。

 当時のことですので玩具的な製品であり、背が異様に高くて似てないと思います。

 その次も1990年のLimaの全面改訂製品です。

 詳しくは知らないのですが、動力がカルダン駆動になったのではないでしょうか?

 その次が2002年のROCO、そして、2006年のMärklin/Trixとなります。

 こちらで紹介するBR 280 007-6は、2003年の製品となります。

 最初に発売されたBR V 80 010の次に発売されました。

 2000年代のROCOですので、スタンダードな出来と思います。

 塗装やレタリングもきれいです。

 それにしても高いボンネットですね。

 これでは両前面下は全く見えないです。

 連結開放時には事故はなかったのでしょうか?

 なかなかいい感じです。

 なお真鍮製のサンバイザーが付属しますが、取り付けていません。

 運転室下窓の通り、ボンネットに通路があるようですね。

 でも、エンジンがあるので狭かったでしょう。

 正直、V 80は不格好ですね。

 何か小さな子供が描いた絵みたいです。

 走りの方は普通で、スムーズに走ります。

 私のは中古で入手しましたが、片側妻面の手すりがありませんでした。

 有名模型店で取り寄せていただいたので取り付けることが出来ました。

 なお、以前のブログ記事通り、この製品は塗装が非常に弱いので注意してください。

 こちらは大丈夫でしたが、V 80 010は見事に発泡スチロールで塗装が侵されてしまいました。

 ROCOの箱はすぐに取り替えないと危険です。

 ポリシート養生では、塗装被害を抑えることは出来ません。すぐに交換することをお勧めします。  

 ところで、ちょうどROCOが不安定な時期だったせいか、BR V 65等と同様、この製品はあまり作られていないような気がします。 

 上記のようにBR V 80は、決して成功作ではありませんでしたが、模型の世界では短編成の客車を牽いて楽しみたいですね。

2006/1/15 入線 

 

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