ドイツ連邦鉄道 DB 支線軽旅客用電気機関車 BR 141 414-3号機 (Fleischmann 4327)

 今回は、1950年代後半から2000年代の初めに主に近郊輸送用として活躍した、ドイツ連邦鉄道 DB のBR E 41/141を紹介したいと思います。

<BR 141 主要諸元>

 バッファ間距離:15.62m、運転重量:72.5t、軸配置:Bo’Bo’、軸重:16.6t、出力:2,400kW、主電動機:4、ラバースプリング駆動、動輪径:1,250mm、最高速度:120km/h

 実はBR 141は何度か紹介しております。

 実車については、当方の過去記事を参照いただけましたら幸いです。

 1956年から1971年までに、機械部品:Henschel-Werke、Krauss-Maffei、Krupp、電装品:AEG、BBC、SSWで合計 451輌が製造されました。

 本機は、長年、近郊輸送運用に就きましたが、老朽化、並びにローカル線の電車化の進展により、2008年までにBR 146やBR 425/426系電車と交代し、全機が引退しております。

 模型の方は、1960年のMärklin を皮切りに、1988年のFleischmann 量産型/更新車 、1990年のROCO 試作型、2008年 Märklin 量産型/雨樋あり原型、及び量産型/雨樋なし更新車 、2014年 Fleischmann 二代目製品 量産型/更新車、2014年 Piko 量産型/雨樋あり原型 及び量産型/雨樋なし更新車と実に多くが製品化され、さらにこれらには実に多くのバリエーションモデルが発売されております。

 BR 141はMärklinの旧製品を除きますと、80年代後半以降の製品なので、今の目で見ても十分使えると思います。

 こちらで紹介するのは、Fleichmannの最初の製品で、緑塗装に続き、1989年に発売になりました。

 80年代のFLM社製品ですので、BR 103のように変なデフォルメがなく、まず見たときに感じがとても良いと思います。

 いかにもFleischmannらしく、とてもかっちりとした出来ですね。

 塗装やレタリングもきれいです。

 ただし、30年以上経過しているので、塗装にはやや劣化が見られます。

 また運転室脇の手摺が一体成型なのはこの当時としてもやや見劣りしました。

 ただし、シャープな成型できっちりと直線が出ている分、曲がっている別パーツよりはいいかもしれません。

 上記のように塗装はきれいですが、2位側前面の白いエプロン部に、やや塗装の乱れがあるのは、1980年代製品だから仕方ないでしょうか?

 白い台形部分の下が、マスキング不良ではみ出しているように見えます。

 上から見た図。

 屋上配線のシャープさが特筆されます。

 屋上機器はそれほど多くはありませんが、どの部品もシャープですね。

 台車は一体成型ですが、80年代の同社らしく、彫りが深くて実感に優れます。

 枕バネなどを含め、10年後のMärklinよりもずっと繊細に見えます。

 ただし、材質が悪い(硬い)ので脱線すると砂まき管が割れてしまいます。

 これは何とかして欲しかったです。 

 経年か塗装の表面がやや荒れてきたようにも見えます。

 O.Rotの色調も正しいですよね。

 時代的に銀車輪ですが、これは黒染めの方が絶対にいいですね。

 なお、この次に発売されたタルキス塗装から黒染めになりました。

 バッファ下や台車ステップもMärklinよりもシャープです。

 運転室脇の手すりはシャープですが、別体にして欲しかったですね。

 レタリングもきれいです。

 パンタもややごついながら、実用性は十分です。

 昨今のROCOのパンタはやや線が細い気がします。

 見た感じ、とても良く似ていますよね。

 やはり顔が似ているというのは、模型ではもっとも重要なポイントと思います。

 走行装置は伝統の円形モーターによる片側台車2軸駆動で、ゴムタイヤは2輪です。

 ローカル客車のような用途には牽引力は十分です。

 屋上もいい感じです。

 配線はやや太いですが、金属製なのでカチッとしております。

 プラではこの感じは出せないですね。 

 モニターには透明パーツがあしらわれています。

 ここまで褒めてきましたが、実はこの製品には大きな欠点が2つあります。

 BR 141の大欠点 その一

 BR 141はボディからシャーシーを外すのが非常にやりにくいのです。 

 私もどうやったらボディからシャーシーが外れるか、さっぱりわかりませんでした。

 しかし、悩んでいたのは私だけではなく、ドイツのフォーラムにも同じ疑問が出ていました。

 それで、あまりにも外れないので、どこかにネジがあるのかと思いきや、実はこの製品、シャーシーを止めている爪が異常というか馬鹿げた場所にあるのです。

 爪はボディの端の方にあります。

 この爪は、僅か(1mm弱)にシャーシーの溝に嵌合しているだけですが、この位置なので車体を広げて爪を浮かすのが実に大変なのです。

 傷をつけないようにKATOのプラドライバーをシャーシーとボディの隙間に差し込んで広げようとしましたが、台車が邪魔で入りません。

 また車体の中側から広げようとすると、逆に爪の端が押し付けられて取れないのです。

 そこで、爪とシャーシーの間に、薄い板のようなものを入れ、爪を浮かせようとしても、爪の上には車体を抑える平板があるため奥に入って行きません。

 なお写真では爪の幅を半分以下に削って広げやすいようにしましたが、これでも大変外しにくいです。

 普通、爪はどちらか片方のサイドが外れれば、自ずと車体からシャーシーは外せるのですが、写真の通り、BR 141は大変肉厚のボディでかつ剛性があり、更にシャーシーとボディの隙間が全くないため、そんなことではびくともしません。

 どうやってもダメなので、最終的に両方の台車を外し、爪の車体端側にKATOのプラドライバーを4箇所差し込んで車体を広げて外しました。

 この台車も曲者で、持つと外れるくせに、外そうと思うと、特に動力側は大変外しにくいです。

 台車は細かい成型なので、破損しそうで実に怖いです。

 ボディは変形したり割れそうになるし、台車を外すと指をかける場所がないので、実にやりにくいです。

 勢い余って床下部品の基部が割れて取れてしまいました。

 こんなもの普通の模型のように、爪の位置を車体中央部に移動するだけで、難なく解決できるわけで、どうしてこんな馬鹿な構造にしたのか、私にはさっぱりわかりませんでした。

 ともかくシャーシーを外すのは、各部を破損する危険が極めて高く、絶対にお勧めできません。

 なお、他のBR 141で整備性を高めるため、諸悪の根源である爪の高さを減じたところ、今度は車体が止まらなくなって抜けてしまう始末。

 FleischmannのBR 141は、欧州型でも一二を争う本当にダメな構造だと思います。

 FleischmannのBR 141大欠点 その二は、車体の傾きです。

 これは4輌中、4輌ともそうですので間違いがありません。

 原因を調べたのですが、全くわかりませんでした。

 ところが数年前、ROCOのDRG EP 2で突然集電が悪くなり、さっぱり原因がわからなかったのですが、色々と試行錯誤して、原因を突き止めました。

 その原因はゴムタイヤの厚さでした。

 ゴムタイヤが厚いために、他の集電車輪が僅かに浮いてしまうのです。

 たったこれだけのことですが、同様なトラブルはフランス・トランの2D2 5500でもあり、こちらもゴムタイヤを薄くしたら、それまでほとんど走らなかったものが、なんとか走るようになりました。

 よもやと思い、BR 141を調べてみますと、この車はFleischmannの円形大型モーターを装備しておりますので、1位側の台車が集電台車、台車のねじれ可能、そして2位側の台車にモーターがセットされ、2軸駆動になっています。なお、動力台車の軸は固定でねじれません。

 件のゴムタイヤは、2位側台車の対角線方向の2輪に装備されています。

 それで台車だけ線路に当ててみると……なんと四輪が同時に接地しないのです!

 つまり、ゴムタイヤを装備した車輪の方が、装備しない車輪の直径よりも大きいため、装備しない車輪のどちらかが浮いてしまうのです!!

 FleischmannのBR 141の動力台車の軸はねじれませんので、常に片側が浮いている状態になります。

 これが傾きの原因だったのです。

 そこで、手持ちの薄いゴムタイヤと交換してみました。

 これも実に大変な作業でしたね。

 ROCO等であれば、車輪が単独で外せますので、ゴムタイヤの交換は簡単です。

 ですが、Fleischmannの円形大型モーターの車軸は外れないのです。

 そうなると車体から台車ごと外し、更に台車を抜かないと交換できません。

 この作業はボディからシャーシーを外さなくても出来ないことはなさそうですが、他の部品を壊してしまう可能性があるため、シャーシーを外しました。

 実はこれが上の記事の原因となります。

 しかし、ようやくの思いで、ボディとシャーシーを分解しても、上述の通り、動力台車をシャーシーから抜くのも大変ですし、モーターブロックからプラ製の台車を外すのも実にやりにくいです。

 せめて配線がもう少し長ければ楽なのですが。

 で、ようやく車輪を露出させ、ゴムタイヤを外しました。

 左がオリジナル。右が交換しようとしたもの。厚さが全く違うのがわかります。

 こんな感じで、かなり厚手のゴムタイヤになっています。これを手持ちの薄いのに替えます。

 これも実に大変でしたね。

 何しろ昔の在庫なので、引っ張っただけで切れてしまったり、ゆるゆるだったりで。

 あるいは薄くても幅が広くてダメとか。

 結局、ROCOの少し径の小さい別売品を使いなんとか交換しました。

 その結果がこちらです。

 車体の傾きが改善されているのがわかると思います。特に台車の傾きは明らかに違います。

 他方、反駆動側は台車がねじれるためか、思いの外、傾きますね。

 駆動側 2位側

 ボディを被せるとこんな感じです。

 明らかに改善はされていると思いますが、完全には直りませんでした。

 特に半駆動側が傾く理由がさっぱりわかりません。

 半駆動側 1位側

 なお、上記の通り、ゴムタイヤの交換も大変でしたが、その後も実に苦労しました。

 と言うのも、交換したら今度は車体が揺れるようになってしまったのです。

 結局、何度も交換するはめになりましたが、原因はゴムタイヤの厚みが均一になっていないことのようでした。

 つまり、ゴムタイヤを取り付けたあと、本当は細いドライバーでゴムタイヤを引っ掛けて、車輪を一周し、厚さを揃える必要があるのですが、BR 141は動輪が抜けないので、この作業が大変やりにくいのです。

 結局、指で押したりしてなんとかなじませましたが、十分には平滑化出来なかったですね。

 それもこれもFleischmannのゴムタイヤが厚すぎることが全ての原因です。

 そうでないなら、四輪ともゴムタイヤ装備にするか、あるいはどちらかの軸だけをゴムタイヤにすれば、台車の前後で傾きは生じますが、少なくとも左右に傾くことはなくなります。

 向こうの人は車体が左右に傾いても気にならないのでしょうかね?

 ともかく疲れました。

2005/3/11 入線

 

2021/4/7 記

2023/7/19 写真追加・更新

 

 

 

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