フランス国鉄 SNCF 特急旅客用電気機関車 CC 6516 (ROCO 72631)
今回はフランス国鉄 SNCF を代表する特急用電気機関車 CC 6516について紹介します。
上記の通り、CC 6500はフランス国鉄でもっとも有名な電気機関車であり、数々の優等列車を牽いて活躍しました。
<CC 6500 主要諸元>
全長:20.19 m、重量:115-118 t、軸配置:C’C’、軸重:19.2-19.7t、電動機:2個、出力:5,900kW、最高速度:100/200km/h→ギア比の変更により、最高速度の変更が可能、動輪径:1,140mm、電源方式:1500V DC
1969-75年の間、Alstom/MTEで74両が製造されました。CC 6501-6574
また、1995-96年に、本機を元にした四電源機 CC 21000が4両全機とも、CC6500に改造されています。CC 6575-6578
大きく分けて3つの生産型に分類されます。
CC 6501-6539 初期に作られた車で、「南西」と呼ばれるそうです。こちらのモデルのようにサイドルーバーが横型で、逆台形になっています。
CC 6539-6559 アルプスのモーリエンヌ線用機。初期の車は第三軌条式でした。携帯的には、側面フィルタの形状が四角くなりました。もっとも特徴的なのは緑色に塗られたことです。
CC 6560-6574 南東と呼ばれるタイプで、モーリエンヌ線機同様、側面フィルタが資格です。塗装は従来どおりです。
CC 6575-6578 上記の通り、四電源機 CC 21001-4からの改造機です。形態的には上に準じています。
本機はTEEミストラル、キャピトール、アキテーヌなどの優等列車の200km/h牽引で知られますが、貨物列車の牽引にも多用されました。
これは、ギア比を車内から変更することが出来たからだそうです。
今回はじめて知りましたが、CC 6500は台車に各1個のモーターを装備しており、変速機能を搭載していたのですね。
これはドイツの電機では見たことがありません。(私が知らないだけかもしれません)
CC 6500はSNCFを代表する特急用電気機関車として、大活躍を続けましたが、TGVの登場により、やがて活躍の場は狭まっていきました。
晩年はローカル運用や、貨物運用が主体でした。
そして、2007年に最後の4両が引退しました。
2016年時点で10両が保存等で残っているようです。
CC 6500は約半数の40両に名前がつけられました。なお、1両を除き全て、フランスの都市名だそうです。
ちなみにこちらのCC 6516号機は、パリ南西部の都市 "Châtellerault” シャテルローだそうです。
CC 6500と言えば、ドイツのBR 103と並び、日本で最もよく知られた欧州型の電機と思います。
やはり、BR 103と同様、長い車歴の中で、いくつかの塗装がありました。
1)オリジナル coup de soleil カラー
TEE客車と合わせた塗色で、地色が銀、オレンジとマルーンの帯
2)ベトン804 coup de soleil 塗装
こちらのモデルのように1)の地色を銀から灰色(ベトン804)に変えたもの。
3)モーリエンヌ
緑に白線。同線で使用されていたPLMの機関車に合わせた?
4)ベトン塗装
BB 7200やBB 22200と同じ灰色にオレンジの帯。2両のみ。
5)貨物(FRET)塗装
緑とメタリックグレー
<参考文献>
Wikipedia CC 6500 フランス語版、英語版、独語版
一般的に、Wikiの記載は母国語版が一番詳しくて、その他の言語は簡略版になっていることが多いのですが、CC 6500について言えば、各国語版がそれぞれ独自の記載があり、参考になりました。
今回、初めて知りましたが、Wikiよりもずっと内容が豊富で、興味深い記載が多かったです。特に構造的な記載は参考になりました。ありがとうございました。
それで模型の方ですが、いつもどおり、Modellbau-Wiki によりますと、有名車両だけに今まで多数の模型が発売されてきました。
ただし、古い製品があってもなかなか新規が出ないという欧州型の常でしたが。
一番古いのが、1969年初回発売のJouefです。
この製品は結構長い間、供給されていたようで、1990年代でも見かけることがありました。
ただし、当時のものですので出来の方はおもちゃといった感じです。スケールよりも小さいように感じました。
次がLimaです。
Modellbau-Wiki には1980年頃との記載がありますが、1970年代半ばには朝日通商が日本で売っておりました。もっと古いはずです。
いかにも大昔のLimaと言った製品であり、今日、価値のあるものではないでしょう。
こちらも長い間作られたのか、某オク等でよく見かけますね。
その次はTABです。
TABは現在消滅してしまいましたし、当時の超高級モデルで、入手が極めて難しかったので、まさしく幻の製品と言えましょう。
Modellbau-Wiki には1984年とありますが、真偽の程は定かではありません。
実車もそうでしたが、変速機能を備えているのが極めて珍しいです。
1990年代に当時所属していたクラブの方に見せていただきましたが、当時としても傑出した出来でしたね!
ただし、EGSで70,000円!くらいしましたが。
なお、その後、TABのCC 6500は天賞堂でも扱いましたが、2005年にTAB氏が亡くなって、消滅してしまったそうです。
TABは別格ですので、CC 6500の模型は、JouefとLimaの玩具的製品しかない時代が、なんと20年以上も続きました。
欧州ではよくある話で、まして当時のフランスは鉄道模型が大変低調な時期ではありましたが、BR 103と並ぶ、超有名機がですよ!!
ようやく他と比肩しうる製品が発売されたのは、なんと1994年のことでした。
そのJouefの完全新規製品は、CC 72000に続く新世代モデルであり、それまでの玩具的な同社製品とは全く異なる、本格的なものでした。
Jouefは、サイドフィルタが四角い第3シリーズをモデライズしました。
具体的には、両軸モーター搭載、両台車駆動、ダイカストフレームという欧州で一般的なROCO製品のような構造でした。
ただし、ギア比が低すぎてスピードが出る割にはトルクが低いとか、台車の集電がいまいちだったのはやはりJouefでしょうか。
LEDを採用していたのも、この当時としては目新しいと思います。
ただし、回路が悪くてパルスパックを使うと暴走してしまいますが。
ディテールもそれまでの玩具的なものからすると、飛躍的に向上し、その頃の世界水準となりました。
他方、必然的に価格も急上昇し、あまり定かではないのですが、某有名外国型専門店では当時 39,900円!!だったように記憶しております。
ようやくまともな製品が供給され始めたのですが、その後、Jouefは倒産してしまい、CC 6500は入手困難なアイテムでした。
Hornbyグループ傘下に入ってから、Rivarossiブランドを含め、何度も作られたようですが、あまり記憶はありません。
次は2012年のL. S. Modelsです。
同社としては初期の製品ですが、残念ながら私は見たことがありません。
その次がROCOが2014年に発売したこちらです。
ご覧のように大変良く出来ていますね。
ROCOのC 6518号機は、Jouefの現行製品とは異なる量産第1シリーズで、上記の通り、サイドルーバーが台形なのが特徴です。
車体中央には "Châtellerault” の紋章が貼られています。
スイスの電機にも同様なものが見られますが、紋章の好きなドイツの電機では見たことがないですね。
同じC-C機でも、DBのBR 103や151とは異なり、軸重はほぼ同じ(BR 103 19t)なのですが、DL機 CC 7200と同様、軸距が短いですね。
こちらの方が、横圧を下げられると思いますが、動力伝達や線路への負荷としてはどうなのでしょうか?
オリジナル塗装の「べトン」(コンクリート)ですので、エポック4b(1980~1990年頃)の姿になると思います。
見た感じ、ディテールは豊富ですし、塗装もきれいです。
特徴ある前面。ワイパー等も細かいです。
日本では、CC 6500、BB 15000、CC 72000等をその前面スタイルから、「ゲンコツ」と呼びますが、本国ではそのような慣習はなく、「折れた鼻」と言うそうですね。
なお、逆勾配の前面ガラスは反射よけになるそうです。
英連邦軍のCMPトラックにも同様なのがありますね。
ほんと良く出来ています。
かつての玩具的製品とは雲泥の差がありますね。
そうそう、Modellbau-Wiki の記載では、ROCOのCC 6500は一度きりしか作られていないそうです。
そのせいか、中古も全く見ないですね。
と言いつつ、こちらは中古入手ですが。
本機はDCCフルサウンドです。
サウンドの種類は多く、CS2では全てを再生する事が出来ないほどです。
面白いのは駅のアナウンスで、メルクリンのドイツ語と比べるとフランス語の案内放送は異彩を放ちますね。
速度がかなり遅めですが、調整できるのかもしれません。
運転室内灯が点くのはいいですね。
Re4/4IIと同様、ほとんど使った形跡が見られなかったので、ROCOの推奨に従い、無負荷状態で、前進30分、後進30分を行いました。
残念ながら私はフランス型をあまり持っていないので、ドイツ型のICやEC、D、オーストリアやスイスのECを牽かせようと思っております。
2015/6/7 入線
2021/3/27 記
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