ドイツ連邦鉄道 DB 支線旅客用電気機関車 BR E 32 101号機 (ROCO 63850)
今回は約50年の長きに渡り、主にローカル線の旅客列車を牽いたBR E 32を紹介します。
西ドイツ国鉄 BR E 32は、ドイツ国鉄 DRG バイエルン郡管理局が開発した支線用の旅客用小型電気機関車EP 2です。
<BR E 32 主要諸元>
バッファ間距離:13,010 mm、運転重量:84.8t、軸配置:1'C1'、軸重:18.8t、電動機:2基、連続出力:1,010kW、ロッド式駆動、動輪径:1,400mm、最高速度:75km/h(E 32.0)、90km/h(E 32.1)
1924年-1926年の間、合計29両が製造されました。
1920年代初、ドイツ国鉄バイエルン郡管理局は、一連の電気機関車を調達することになりました。
BR E 32もその計画の一つで、平地で900tの列車を75 km/hで、10‰の勾配で460tの列車を50 km/hで牽くことが求められました。
BR E 32は、同時代のブフリ式高速電機ES 1(後のDRG BR E 16)と同じ585kWの電動機を2基装備し、ロッドで3軸を駆動します。上記のように、1924年から1926年にかけて、Maffei 及び BBCにより、合計29両が製造されました。
本機は当初、バイエルン郡管理局の型式EP 2、車番20 006-034でしたが、後にDR 型式BR E 32 01-29へ変更されています。
BR E 32は、29両全てが、オーバーバイエルン地方で使用されました。
1936年、29両のうち、8両がギア比の変更により、最高速度75km/hから90km/hに増加しました。
これらには、E 32.1(E 32 101-108)の車番が付与されました。
E 32.1、10‰の勾配で320tの列車を時速70kmで牽くことができました。 BR E 32は、戦災で5両が廃車になりましたが、残りの24両がDBへ継承されました。長らく、南部ドイツのローカル線や入替に使われておりましたが、誕生から約半世紀を経過した1972年8月に、最後まで残った8両が廃車されました。
現在、そのうちの1両E 32 27が静態保存されております。
以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 32 より、引用、参照いたしました。
JNRで最後まで残ったロッド式電機はED 42ですが、特殊な事情があって1963年ですから、大正時代に作られたBR E 32が更に約10年後まで使われたのには、驚かされますね。 それで、BR E 32の運用ですが、上記Wikipedia DR-Baureihe E 32 には、大変珍しく、E 32の全29両のリストが掲載されております。日本ならこういう表記はお手の物なのでしょうが、彼の地ではあまりこのようなデマンドが無いようで、Wikiでは他にBR 59くらいしかありません。
しかしながら配属地と終焉の場所しかないので、実際にどの線区でどんな運用に使われたのかは全くわかりません。
そこで、Webを探してみたところ、Die Wehratalbahn というHPにたどり着きました。当HP及びWikipedia 独語版の記載によりますと、ヴュルテンベルク王国邦有鉄道により1890年5月20日に本格開業したWehratalbahn (ドイツ最南部、スイス国境の間近の街Bad Säckingen-Schopfheim間、19.7km)は、1913年に電化されました。
当初、ヴュルテンベルクの開発した電気機関車が試用されたようですが、初期には色々問題も多かったようです。
1928年にDRG E 71、1935年にET 25が導入されましたが、これらの老朽化により、1955年より、BR E 32が導入されたようです。
1961年12月の時点で、Bw Haltingenには13両が在籍したようですが、これら全てがWehratalbahnで使用されたわけではなさそうで、1967年冬の時刻表では2両が使われていたとありました。
1969年夏ダイヤを持って、最後の4両(E 32 11、24、101、108)がミュンヘンへ回送され、同線でのE 32は歴史のページを閉じたとありました。
なお、同線はそれから2年後の1971年に旅客営業廃止、1990年に貨物廃止、1994年完全廃止されたそうです。
ドイツの車両でこのような運用まで分かる例は大変少なく、また囚人護送車など貴重な写真も多数掲載されておりますので、ぜひご覧下さい。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、BR E 32は、マイナーな機関車にしては比較的恵まれているように感じます。
一番古いのはFleischmann 1332で1957-59年まで作られました。
次もFleischmannで、上記1332の一部改訂版1632(1970年以降は4369)として、1968-88までの長きに渡って生産されました。
こちらはいかにも古い世代のFleischmann製品といった感じです。
次は1980年のROCO 04145Aで、各種バリエーションが1994年まで発売されました。
途中で塗装グレードが上がったり、モーターが更新されたり、部分改良が図られているのは他の同社製品と同じです。
その次は1985年のPrimexです。
同社はMärklinの旧製品を発売しておりましたが、E 32は逆にPrimexが先で、Märklinが後になっています。
このあたり、私はよく知りませんので、詳しい方のご指導をお願いします。
その次がこちらで紹介するROCOの二代目製品です。
さらにPikoが2021年に発売を予定しております。
それで上記の通り、こちらで紹介するのはROCOの二代目製品で、2004年に発売されました。
新製品とありますが、ご覧の通り、旧製品の部分改訂に見えますね。
手摺は別体となりましたが、ランプ類は一体成型ですし、何よりも一番がっかりしたのは車輪がプラだったことです。
シャープですし、1980年代のROCOのように、なにかくすんだ赤ではないのですが、金属車輪に比べると質感が劣ります。
パンタはシャープなものに代わっています。ロッドは新しくなっているようです。
2000年代製品ですので、メッキではなく、黒染めされているのがいいですね。
他方先輪の排障器は旧製品と同じように見えます。
旧製品の弱点だった塗装は、美しい酸化クロムグリーン塗装に、シャープなレタリングに変わりました。
こちらは101号機ですので、ギア比を変更し、最高速度を75km/hに上げたタイプですね。
車体は旧製品そのままに見えます。屋上配線は変わっていそうです。
今回初めて気づいたのですが、上側ライトケースにヒビが入っています。
この部分、一体成型なので交換するわけには行かないですね。
がっかりです。
DRGの戦前型機はどれも似ていますね。
前面に小型の貫通路を設置したのはDRG バイエルン郡管理局機の特徴で、E 52、E 75、E 91などもそうですね。
なお、走行は至ってスムーズです。
1965年8月9日という標記がありますので、エポック3bになります。牽かせるものがよくわかりませんが、WikiにはUIC-Xを引いている写真が、そして、Die Wehratalbahn には三軸更新車を引いている写真が掲載されておりました。
上記のように、本機は無理して日本で買いましたが、正直なところ、2004年という時期からもう少し頑張って欲しかったですね。2021/3/14 記
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