ドイツ連邦鉄道 DB 重貨物用電気機関車 BR 193 016-3号機 (Piko 51092)

 今回はドイツ連邦鉄道 DB の大型貨物用電気機関車 BR E 93を紹介します。

 BR E 93はドイツ国鉄 DRG が開発した6軸の重貨物用電気機関車です。

<BR E 93 主要諸元>

 バッファ間距離:17,7 mm、運転重量:117.2/117.6t*、軸配置:Co'Co '、軸重:19.6t、連続出力:2,214kW、電動機:6基、吊り掛け式駆動、動輪径:1,400mm、最高速度:65/75*km/h

*:E 93 05-18 

 1933年から1939年までに18両が製造されました。 

 1933年の南部ドイツの鉄道難所ガイスリンガー・シュタイゲの電化に際し、DRG は同線で使用する重貨物機を要求しました。

 こうして製作されたのが、BR E 93です。

 ちょうど世界大恐慌に端を発するドイツの経済危機の真っ只中(いわゆるレンテンマルク)であり、それまで開発されていた大形で複雑な構造のBR E 91やE 95は高額すぎて問題外であり、本機の開発にはコストダウンとともに保守が容易であることが要求されました。

 結果としてBR E 93には、小型で強力なモーターの開発により、それまで作られてきた大形低速モーター・ロッド駆動式の貨物用機関車E 75、E 77、E 91とは異なり、E 95で実績があり、E 44 001の試験結果を元に吊り掛け駆動式が採用されました。

 軽量化を図るため、車体は台枠に取り付けられたボンネットが中央の車体と結合される、三分割式になっています。

 このスタイルはBR E 93の発展形でより成功したBR E 94にも引き継がれました。

 有名なスイスのCe 6/8”クロコダイル“と同じ構造なので、BR E 93やE 94はドイツのクロコダイルと呼ばれることがあります。

 ただし個人的にはSBBのクロコダイルはボンネットの前部が斜めになっていて、また長いのでワニっぽいのですが、BR E 93やE 94は短いので犬みたいに見えますね。

 それはともかく、E 93は最大1,600tの貨物列車を65km/hで牽引する能力が要求されました。

 1933年に完成したBR E 93 01及び02の運用において良好な結果を発揮したので、追加生産されることになりました。

 1935年から1939年まで断続的に18両が納入されました。

 E 93 05以降の14両は、最高速度が70km/hに向上しています。

 しかしながら、より強力なBR E 94が登場したこと、それになんと言っても第二次世界大戦の勃発により、それ以上の生産は行われませんでした。

 なお18両の殆どは南部ドイツのBwコーンヴェストハイムやBwウルムへ配属されましたが、E 93 14-18は中部ドイツのハレ、ライプチヒに配属されました。

 中部ドイツへ配属された機種は、程なくしてBR E 44と交代し、南部ドイツへ異動しました。

 地形が平坦なため、E 93のような強力機が必ずしも必要となかったようです。  

 戦時中、爆撃や空中攻撃により損傷を受けた機もありましたが、戦災からの復旧に貨物輸送が最優先とされたこともあり、18両全機が復旧し、DBへ継承されました。

 DBでは全機が南部ドイツに配属され、BR E 94と共に貨物列車を牽きました。

 また当初の設計目的でもあるガイスリンガーシュタイゲの後補機として、不動の活躍を続けました。

 しかし、1958年に強力な標準型電機 E 50が登場すると、主力の座を退くようになりました。

 貨物列車の活躍は減っていきましたが、ガイスリンガーシュタイゲの後補機として1982年まで活躍を続けたのです。 

 1976年から廃車が始まり、最後の一台193 006が引退しました。

 現在、E 93 07、08、12の3両が静態保存されています。

 残念ながら、手狭になった博物館が個人へ売却した12の状態は相当悪いようですね。 

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 93 及び、Interessengemeinschaft Deutsches Krokodil の Die Baureihe E 93 より引用、参照させていただきました。

 ありがとうございました。 

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、やはり200両作られたBR E 94に比べると18両の本機はマイナーな存在だったのか、Nでは1984年にMinitrixが製品化した一方、HOでは長らく製品に恵まれず、1999年になってようやくPikoから発売されました。

 その後、2014年初回発売のMärklin/Trixが続きました。

 こちらの193 016-3は、2002年の製品です。

 その後、ほぼ同一モデルのバリエーションが多数発売されています。  

 ちょうどPikoが民営化?された頃の製品で、BR 104とほぼ同時に、完全新規製品として発売されたように記憶しています。

 ご覧のように東独時代のPikoとは全く違う、繊細な出来栄えになっています。  

 構成は欧州型ではもっともオーソドックスな、ボディ、台車枠がプラ、シャーシーがダイカストです。

 台車の彫りは深くて好感が持てますが、無塗装なのでプラっぽいのは仕方ないでしょうね。  

 上記のように昔のPikoからは想像できないような、繊細な出来となっています。

 レタリングもとてもきれいですね。  

 ボンネット上の手摺は細いのはいいのですが、変形してしまいました。

 おまけに寝かせて箱に入れる際、あまりにも細過ぎで1箇所折れてしまいました。

 欧州型の箱は、保管を旨としていないので、本当にダメダメですね。

 その後知ったIMONの箱に入れ替えてしまいました。

 酸化クロムグリーンも大変美しいです。

 もっとも無塗装プラの手摺との差異は仕方ないでしょうか。

 ステップや台車周りは本当に繊細ですね。 

 パンタグラフも最近の繊細なものですが、壊れそうで怖いです。

 ライト周りなども本当によくできていますね。ROCOのE 94.5と異なり、中央を含めた三灯が点灯します。

 前面の形状はE 75やE 44.5のような古いドイツ電機の形状となっています。

 以降の機種は日よけが別体になりました。

 今回はじめて気づいたのですが、運転室脇の1の文字と稲妻のマークがずれてしまっていますね。

 デカールでも貼りますか。

 ところでE 93は、後継のE 94に本当によく似ています。

 ですが、中央車体下部のフレームが真っ直ぐになっているものがE 93、E 94はトラス状になって、中央が下がっており、また肉抜き穴が開いているので、簡単に見分けがつきます。

 中央に両軸モーターを設置し、6軸を駆動します。

 走りの方は至って普通です。

 やはり貨物列車が似合いそうです。

 もっとも Die Bundesbahnzeit や VOBA Medien などを見ると、実車は客車も牽いたようですね。

 Die Bundesbahnzeit は、超有名サイトですが、主としてEp.4の素晴らしい写真が多数掲載されているので、もしDBファンで未見の方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧下さい。

 他方の VOBA Medien は今回見つけましたが、こちらもすごいです。

 Die Bundesbahnzeit と同じ写真が掲載されているので、何らかの関係があるのかも。

 PikoのBR E 93も欲しくて仕方ありませんでしたが、この頃からPikoの値段が急上昇し、現地でも確か230ユーロ以上と相当高くて、手が出ませんでした。

 某オクで偶然入手しましたが、後にも先にもPikoのBR E 93は見たことがありません。

 ラッキーでしたね。


2009/3/28 入線

 

2021/3/16 記

2023/7/19 写真追加・更新

 

 

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