ドイツ連邦鉄道 DB 勾配線貨物用電気機関車 BR 191 099-1号機 (Märklin 3829)

  今回はドイツ南部の山岳地帯で活躍した連接式山岳用電気機関車 DB BR E 91.9(BR 191)について、紹介します。

 BR E 91.9はドイツ国鉄 DRG が1925年に製造を開始した山岳線用の貨物用電気機関車BR E 91の追加生産型です。

<BR E 91.9主要諸元>

 バッファ間距離:17.3m、運転重量:116.4t、軸配置:C'C'、軸重:19.6t、連続出力:1,660kW、ロッド式駆動、最高速度:55km/h、動輪径:1,250mm

 1929年にAEG、WASSEGによりE 91 95-106の12両が製造されました。

 1922年、ドイツ国鉄DRGは山岳線用にC’C‘軸配置の大型貨物用電気機関車30両を発注しました。

 作られた機関車は、ロッド駆動式のC軸を駆動する大型モーターを設置した台枠を前後に配置しながら、急曲線対策のため3分割された車体を持つという一風変わったスタイルをしています。

 もっともこの当時の大型機関車は、BR E 95、E 90.5のような独立した2車体、あるいは本機に大変良く似ているBR E 77や、SBBクロコダイル、RhBクロコダイル、のちのBR E 93、E 94のように車体が3分割されているものが多かったのです。

 1925年~26年にかけて完成した30両のうち16両は、EG 5 22501-516としてバイエルン郡管理局へ、14両はEG 581ブレスラウ-EG 594ブレスラウとして、シュレージェンに配属されました。

 1927年に、前者がE 91 01-16へ、後者がE 91 81-94に改番されました。後者はE 91.8と呼ばれることもあるようです。

 また同じ1927年に、E 91 17-20の4両が追加配備されました。

 尚、バイエルン機とプロイセン機では全面の貫通路のあるなしで見分けることができます。

 BR E 91は、10‰の勾配線区で1,200トンの貨物列車を35 km/h、500トンの旅客列車を45km/hで引くように設計されましたが、運用の結果は大変良好で、更に追加生産されることになりました。

 なお、最高速度が55km/hと低いですが、最初から勾配線区での低速での運用が求められていたため、問題にはならなかったようです。

 そして、さらに追加生産されたのが、こちらで紹介するBR E 91.9です。

 上記の通り、E 91 95-106の12両が製造されました。

 番号からもわかるように、シュレージェンに配備された車両の追加分です。

 E 91.9は基本的に、E 91と同じですが、電気ブレーキが搭載されたことと、搭載機器の見直し等により、7tもの軽量化が図られました。

 その他、ホイールベースの寸法も変更になっております。

 外見的には通風ガラリが側窓と同じ高さにあるのがE 91.9、腰の高さにあるのがE 91.0、E 91.8なので見分けられます。

 全部で46両作られたBR E 91ですが、もともとバイエルン地方で使用されていた車に加え、第二次大戦末期にシュレージェンから疎開される措置が取られたこともあり、戦後、DBには22輌が継承されました。

 他の旧型電機と同様、1950年代末に機器が更新されております。

 BR E 91は約半世紀に渡り地味な活躍を続け、最後の一台が引退したのは、誕生から約半世紀後の1975年でした。

 その後、こちらで紹介するBR 191 099-1が保存されました。

 本機は、パーツ源として残していた100号機の部品を使い、ミュンヘン-フライマン工場で動態復元され、1985年のドイツ国鉄150周年パレードに参加しました。

 この際、前面窓の形状が原型に復されています。

 残念ながらその後、損傷してしまい、現在はアウグスブルク鉄道公園で静態保存されているようです。

 なお、DRG BR E 91には、BR E 91.3という番台が存在しますが、この機種は元プロイセン邦有鉄道のEG 538 a/b/c - EG 549 a/b/cであり、本機とは全く関係のない別の機種です。

 E 91.3は、それぞれがジャック軸付ロッド式のB軸を有する3つの車体を連結した面白いスタイルですが、1943年に最後の一台が引退しております。

 

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 91 より、引用、参照いたしました。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、HOでは現在まで大きく分けて3種類発売されているようです。

 最も古いのがRÖWAです。

 1972年初回発売の製品ですが、同社の倒産により、ROCOへ継承されました。

 この製品は大変寿命が長く、その後改良を重ね、2000年代まで生産されました。

 こちらはバイエルンのE 91.0を模型化しておりますが、何故か追加生産型のE 91.9のBR 191 099-1も出ています。

 当然のことながら、金型はE 91.0ですので、換気ガラリの位置は間違っています。

 今回調べて初めて知ったのですが、この製品は動力が何度か変更されているようですね。

 RÖWAはギア駆動、ROCOはロッド駆動でその後、また変更されたようです。

 私は以前、43428 BR 191 011-8を持っていたのですが、車体がひどく揺れるため、手放してしまいました。

 その次に発売されたのが、こちらで紹介するMärklin/TRIX製品です。

 こちらはROCOのなんちゃってE 91.9とは異なり、正真正銘のE 91.9となっています。

 1986年にこちらのDB更新形が、そして、2006年に前面窓にひさしのついた原型機が発売されています。

 原型機発売により、金型を修正したのかと思いましたが、2009年にまたこちらの形状を発売しておりますので、金型を2種類持っているのかもしれません。

 

 なお、BR E 91ですが、2020年にPikoがE 91.9を発売しています。

 見たことがないのでわかりませんが、写真からは、いかにも最近のPikoらしい仕上がりに見えました。

 それで、MärklinのBR 191 099-1は上記の通り、1986年に発売されました。

 もっともこちらのHämo 3829 は一度きりの生産であり、生産年はModellbau-Wiki にも記載がありませんでした。

 恐らく1994年頃ではないでしょうか?


  Märklinの精度が非常に良くなっていった頃の製品ですので、大変良く出来ていると思います。

 ボディやフレームがダイカストなのがいいですね!

 車輪も現在のような精度ではありませんが、いい感じの金属車輪です。

 ROCOはプラ車輪ですので、この点はMärklinの方が勝っていると思います。

 ロッドが金属なのもいいですね!

 ただし残念ながら斜めロッドは固定です。

 また車輪が黒染めになっているのに対し、ロッドはメッキです。

 それから、写真ではわかりにくいかもしれませんが、こちらのボディの艶がやや異なってしまっています。

 クリアーでも吹けばよいのでしょうが、失敗が怖いです。

 運転台脇の手摺が二分割されているのは珍しいかもです。

 車体連結部の配線の処理、幌の表現などはいいですね。

 酸化クロムグリーンも安っぽくなくていいと思います。

 

 本機はDCMモーターを片方の車体に装備し、片側の三軸をギアで駆動します。

 いかにもDCMの走りです。

 なお、3829はデジタルレコーダー装備ですが、1995年当時、お荷物でしかなかったので、撤去し、アナログに改造してあります。

 DCCが一般する前のこの当時、Hämo機にはどんなデコーダーが装備されていたのでしょうか?

 DRG発足当時の電機ですので、前面形状は類似型のBR E 77はもちろんのこと、E 52やE 75とも似ていますね。

 こちらは、1995年にイギリスの模型店から個人輸入しました。

 まだ個人輸入を始めたばかりの頃で、イギリス以外には個人輸入のつてがなかったのです。

 イギリスの模型店はContikitsのようにとんでもない店もありましたが、概して親切で便利でしたね。

 ただし、EU統合前の事ゆえ、大陸と比べると割高にはなってしまいましたが。

 RÖWA/ROCOの模型で古くから知られる機種ですが、ROCOの古い製品以外の中古は、まず見ることがありません。

 短めの貨物編成によく似合う特異なスタイルの本機です。

 現在、PikoとMärlinから発売されておりますので、コレクションに加えてみてはいかがでしょうか?

2021/2/21 記

2023/7/18 写真追加・入替え

 

 

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