ドイツ国鉄 DRG 旅客用蒸気機関車 BR 76 001号機 (Fleischmann 4046)
今回は国鉄線上では比較的短命だったプロイセンの小型機 T 10、後のドイツ国鉄 BR 76について紹介したいと思います。
こちらも日本ではあまり紹介されたことがない機種と思います。
<BR 76 主要諸元>
型式:2'C h2t、バッファ間距離:11,800mm、運転重量:76.1t、軸配置:2C、軸重:16.3t、過熱式二気筒、出力:647kW、ボイラー圧力:12bar、最高速度:100km/h、動輪径:1,750mm
BR 76は、もともとプロイセン王国邦有鉄道 K. P. St. E. の過熱式蒸気機関車 T 10です。
フランクフルトとヴィースバーデンの間41kmを結ぶ路線のために、1909~12年に12輌がボルジッヒにより製造されました。
端末駅で転回させないで使用できるように設計され(実際には転回して使用されることも多かったのだとか)、P 6のボイラーとP 8のシリンダーと走り装置を改造、転用しました。
従輪を省略したので、ボイラーの位置等、独特なスタイルになっています。
DRGには11輌が継承され、残りの1輌は第一次世界大戦の戦時賠償として、フランスへ行きました。
本機は短命で、敗戦時には8輌が残っていましたが、DB発足前の1945~48年に全て廃車となり、私鉄へ売却されました。
ただし、東部ハノーバー鉄道(OHE)ではうち6輌が1965年まで運用されたそうです。
ただし国鉄線上での廃車が早かったためか、BR 76は保存機がありません。
以上、Wikipedia 独語版 Preußische T 10 より引用、参照いたしました。
さて、Modellbau-Wiki によりますと、BR 76は、マイナー機種ですので、長らく量産模型には恵まれませんでした。
Merker & Fischer (M+F)及び、Model Loco(DJH)から出ていたキットML 219だけだったようです。
そしてFleischmannから2006年に発売されたこちらのDRG BR 76が唯一の量産模型となります。
FLMの完全新規蒸機としては一番後の方の製品になりますね。
ROCOとの統合が図られた時期に当たりますので、従来製品とは異なり、KPEV、OHE、フランス仕様など、各種の製品が発売されたようです。
ただし、私はほとんど見たことがありません。
マイナー機ですし、生産量も少なく、日本にはあまり入らなかったのでしょうか?
定評あるFLM社製蒸機だけに、よく出来ていますね。
一見、テンダ機関車の炭水車を切り離したようにさえ見えます。
ディテールも十分です。
いつもながら、塗装もとても美しいですね。
ネット検索では本機の写真はほとんどなく、あっても単機ばかりですので、牽かせるものがよくわかりませんが、FLMからは3軸多扉車とのセットが出ておりました。
プロイセン邦有鉄道機ですので、このあたりの多扉車などが似合いそうですが、模型的にはDonnerbuchsenなどもいいかもしれません。
流石に最近の製品だけあって、缶モーターです。
走りはFLMのフルスケールだけあって、至ってスムーズでした。
<各部ディテール>
2000年代製品のため、下回りの赤が深くなりました。
先輪及び動輪はとてもシャープです。
弁装置周りもとても細かくなっていますね。
K.P. St. E. P 8に似た足回り。
しかしながら同社のP 8とは別の車輪に見えます。
実車もP 8とはホイールベースが異なるようですね。
BR 96のように動輪がキャブ下にあるという、特異なスタイルをしています。
その動輪も100km/hで走る旅客用ですので、大きいです。
必然的にキャブの上下が狭いように見えますね。
シリンダブロックのメーカーズはいつものことながら美しいですね。
給水ポンプも大変繊細な成型です。
本当にいい感じの下回りですね。
FLMの蒸機の車輪はほんといい感じです。
実用上も何の問題も生じておりません。
キャブ脇の文字も大変美しいです。
1937年3月19日などと読み取れます。ブレーキを試験した日でしょうか?
プロイセン形のキャブ。P 8等によく似ています。
このあたりもとても良く出来ています。
短距離用機なので、サイドタンクに比べると炭庫は小さいですね。
ライト反射板もわざわざ白のプラを入れています。
バッファも金属製なのが他社よりも優れますね。
なかなか繊細な足回りです。
本機は珍しく某オクで落札いたしました。
根がケチなものですから、いつも負け続けていますが、偶然にもゲットできた次第です。
写真のように中古としてはかなり程度が良い部類と思いますし、価格もかなり安かったです。助かりました。
うちには牽かせるものがあまりありませんが、DBの旧型客車なども似合うかもしれません。
思い切りマイナーな機種ですが、面白いスタイルの本機も印象に止めておきたい機関車の一つですね。
2011/6/11 入線
2018/9/15 記
2020/1/26 写真追加の上、再録
2020/6/3 Blogger用に再構成
2020/10/10 写真全面更新、文章修正の上、再録
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