ドイツ国鉄 DRG 急行旅客用蒸気機関車 BR 01 196号機 (ROCO 63241)

 

 今回は、2018年に入線したドイツ国鉄 DRGの急行旅客用蒸気機関車 BR 01 196号機を紹介いたします。

 ドイツはプロイセン、バイエルンなどの王国が1871年に統一され誕生しましたが、鉄道が統一されたのはそれから約50年後の1920年のことになります。

 それまで各王国独自の車輌を使用しておりましたが、日本と同様、統一された機種を開発することになりました。

 その第一弾として1926年に作られたのが、急行用高性能蒸気機関車 BR 01です。

<BR 01 主要諸元>

 型式:2'C 1'h2、全長:23.94m、重量:132t、軸重:20.2t、過熱式二気筒、ボイラー圧力:16bar、出力:1,648kW、動輪径:2,000mm、最高速度:前進 120/130km/h、後退 50/80km/h

 ほぼ同一形式で複式四気筒のBR 02との比較試験の結果、本機が採用され、1936年までの間に241輌(うち10輌はBR 02からの改造)が製造され、ドイツ全土の幹線で大活躍しました。

 軸重が20tと大きかったことから、幹線での使用に限られましたが、西ドイツDBでは1974年、東ドイツDRでは1978年までの長きに渡り使用されました。

 DB/DR共に性能向上を図った改造機(Umbau/Reko)があります。

 BR 01の実機については、Wikipedia 日本語版 ドイツ国鉄01形蒸気機関車をご覧下さい。

 さて、ドイツの蒸機と言えば01 ”Null Eins"というくらい有名な機種ですので、HOは各社から発売されてきました。

 Modellbau-Wiki によりますと、今回紹介するROCO社は、1980年に原型車、2000年に完全新規でDB Umbau機、2003年にDR Reko機、そして2008年に原型機と多数のバリエーションを発売しております。 

 こちらで紹介するDRG BR 01 196は2008年の発売になります。  

 ROCOの初代製品は、1980年のModel des Jahresを受賞した製品であり、その当時の他社製品に比べると縮尺が正確で、細部も良く出来ていますが、一方、流石に40年近く前の製品だけに今の目で見るとやや劣る点があるのも事実です。  

  その点、2008年の196号機は、2000年の完全新規版DB Umbau機をベースにしておりますので、最近のROCOのスタンダードである機関車+テンダー輌駆動でよりスムーズな走行を見せますし、同社の弱点だったプラ輪芯の車輪がダイカスト製となり、シャープさと質感が向上しております。

 更に、灯火がLEDとなり明るくなりました。

 ライトの反射板が白く塗ってあるのも、ブラスの高級機みたいですね。

 初代製品はつや消し黒で、同社製品はプラっぽいと揶揄されることが多かったのですが、こちらは半光沢となっており、質感が遥かに良くなったと思います。

 一見すると、質感やディテールから、高級ブラス製品のような感じです。

 シャープなダイカスト車輪の効果は抜群ですね。

 上記の通り、テンダーがプラとなったので、機関車との質感や精密感の統一が図られたことがわかります。

  BR 01と言えば、2’ 2’ T 34テンダーが有名ですが、こちらは2’ 2’ T 32テンダーを装備しています。

 ちなみに34の数字は水槽の容量(m3)です。

 以前の記事の通り、テンダーの右側の梯子が欠品でした。

 そのうちでっち上げようと思いましたが、実はT 32のテンダーのはしごは、下の方の幅が狭いのです。(上の方の写真を参照下さい)

 こうなると簡単に他からの転用というわけには行かず、そのままとなっています。

 以前伺ったときは品切れでしたが、またチムニーさんに聞いてみますかね。

 以前のROCOの蒸気機関車の赤は、何かぱっとしなかったのですが、こちらは他社製品と同じ、鮮やかな色になっています。

 この製品で驚かされたのはキャブ屋根が灰色だったことです!

 私は初めて知りました。

 何か違和感があるので調べたところ、BRAWAの最新製品も同じように塗られておりました。

 ただし、この塗装の実物の写真を見つけることは出来ませんでした。 

 シリンダ周りも完全に一新され、シャープになりました。

 注目すべきは輪芯部です。

 金属車輪で軸の中心に穴が空いているのはこの製品くらいではないでしょうか?

 また輪芯の銀塗装も他では見たことがないですね。

 車輪は本当にいい感じです。

 細すぎて怖いくらいですね。

 ロッド類もスッキリしましたし、ランボード下の配線も実感的になりました。

 キャブです。

 やはり後ろに傾いているように見えます。

 テンダーはしごはずっと細くなりました。

 金文字のレタリングもきれいです。

 前照灯のハンドル(掴み棒)は、プラ製のハンドルは材質劣化等で折れてしまうことが多いのですが、こちらは金属製なので、シャープかつ強度もありますが、取れやすいので取扱には注意です。(上の方の写真を参照下さい)

 中古を購入される際には欠品に注意して下さい。

 私の購入品も片方外れており、焦りましたが、こちらは箱の中にありました。

 本当にいい感じの動輪です。

 車輪は黒染めになっておりますが、フランジは結構光沢がありますね。

 最近のROCO蒸機の例に習って、テンダーにはバネで可動する転落防止板までついています。

 この部品、昔の製品は左右スライド式でした。

 ここまで再現されているプラ製の量産品は他社製品にはなく、まるでブラス製品みたいです。

 まあ、BRAWAの高級製品には同様のものがありますが。

 従輪輪芯のディテールがわかりますか?

 以前の製品に比べるとリベットがあっさり目の表現になっていますね。

 キャブ内のディテールも少し見えます。

 ROCOは機関車+炭水車駆動ですが、この角度からはジョイントは見えませんね。

 2' 2' T 32テンダー。

 ROCOのプラ製品では初めてではないでしょうか?

 BR 041もT 32を装備しておりますが、こちらはダイカスト製です。

 テンダー台車の色やディテールも良好ですね。

 思いの外、重量が軽い気がしますが、機関車+テンダー駆動のためか、640R平坦線のうちでは力は十分でした。

  最近のROCOの箱なので、緩衝材がスポンジです。

 この箱はあくまで輸送用であり、長期の保管には大いに疑問があるので、ただちにIMONの箱を発注し、交換しました。

  さて私ですが、2013年頃にデジタルサウンドにはまり、一時、アナログに取って代わる勢いでした。

 ですが、それほど時間が経たないうちに、考えが完全に変わりました。

 理由として、まず第一に、デジタルがあまりにも高いことです。

 普通、普及すれば価格は下がるはずですが、模型の世界は全く逆であり、特に欧州型では、全く逆の方向……高級化……へひたすら突き進んでおり、模型自体の細密化、少量生産化も相まって、価格はうなぎのぼりになっています。

 ですが、その割にサウンド自体はそれほど進化してはおりません。

 むしろ実感的と言うよりも、エンターテイメント的な方向……メルクリンの寝台車は極端な例として……へ向かっているのも正直、違和感を持っていました。

 具体的には、何と言っても鉄道車両を特徴づける惰性走行音や絶気走行音がほとんどないこと、速度に比例しないモーター音には物足りなさを感じています。

 それに、実際にうちでも発生しましたが、デジタルは破損します。そして直せません。

 さらに進歩が著しく、DCCを取ってみても、8ピン→21ピン→22ピンと、どんどん規格が進歩しており、過去のデジタル機を修理するのも難しいでしょう。

 LEDを含めた電子部品の寿命は、思いの外、短いですが、模型鉄道は50年以上の寿命があるのです。

  昨今の集積度の向上は、例えば基板上のLED交換さえ、素人には困難になっています。本品も照明がだめになったら、私では手も足も出ないでしょう。

 というわけで、現在では完全にデジタルを諦め、アナログに完全回帰している次第です。

 本品について言えば、スムーズな走りには惚れ惚れしますね。

 アナログは、まだまだ捨てたもんじゃないと思いました。

2017/5/19 入線

2018/10/24

2019/12/30 写真追加、一部加筆の上、再録

2020/10/18 写真全面更新、文章修正の上、Blogger用に再構成


 

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