東ドイツ国鉄 DR 客貨両用タンク式蒸気機関車 BR 91.3-18, 20 1627号機 (Fleischmann 4031)
今回は東ドイツ国鉄 DRの支線用小型蒸気機関車 BR 91.3-18の紹介をいたします。
BR 91.3-18は、プロイセン王立邦有鉄道 K.P.St.E. が製造した、客貨両用の1C飽和式小型タンク機KPEV T 9.3です。
<BR 91.3-18 主要諸元>
型式:1'C n2t、バッファ間距離:10,700mm、運転重量:46.1t、軸重:15.6t、動輪径:1,350mm、飽和式二気筒、出力:470HP、ボイラー圧:12bar、最高速度:65km/h
ところでプロイセン王国邦有鉄道のT 9形とは、軸配置C1’または1’Cのタンク式蒸気機関車を示します。
当初、軸配置C1'のT 9.1等が各形合計500両弱製造されましたが、乗り心地が劣悪だったため、軸配置を1'Cに改めたT 9.2が235両製造され、更にアダムズ軸からクラウス・ヘルツホルム軸に改めたT 9.3は1900年頃から、2,060両以上が製造されました。
更に同型機がヴュルテンベルク王国や私鉄用としても作られ、中には過熱式に改造されたものもあったようです。
2,000両以上というのは、タンク機としてはもっとも多い部類に属すと思います。
第一次世界大戦の結果、廃車になったり、戦時賠償で外国に引き渡されたのも多かったものの、DRGへは、BR 91.3-18 及び BR 91.20として1,500両以上が継承され、DBでは1964年、DRでは1971年までの60年以上に渡って使用されました。
現在、ドイツやポーランドなどに数台が保存されています。
以上、Wikipedia 独語版 Preußische T 9 から引用、参照いたしました。
さて、HOのT 9.3ですが、Modellbau-Wikiによりますと、1965年の Hruska(東独)に続き、1982年に Liliputが発売しました。
私は所有したことはありませんが、Bachmannに引き継がれても生産されているこの製品は、80年代後半の製品だけに、なかなかいい感じの製品でした。
当時の共立の広告で、「ボディがダイカストなので、ゴムタイヤを使わないのに牽引力を確保している」とあったように記憶しております。
邦有鉄道、DRG、DBだけでなく、ヨーロッパ各国仕様(戦時賠償)など、多数のカラーバリエーションがあります。
Liliputで特筆すべきは、Langenschwalbuch線の仕様です。
WiesbadenからLangenschwalbachまでのこの線区は、急曲線で構成されているため、ホイールベースの短い特殊なボギー客車が使われており、古くからLiliputがこのオープンデッキの客車を発売していました。
荷物車など、車種も充実していましたし、時代もEp. 1、DRG Ep. 2、DB Ep. 3がありました。
私も欲しいと思っていますが、現在まで入手できていません。
この線区の短い客車はドイツでは人気があるようで、Liliputよりも後に作られたタイプがMärklinからも出ています。
こちらは数両持っていますので、何れ紹介したいです。
それで本題のFLMのBR 91.3-18、20ですが、こちらで紹介するDR 1627号機(4031)は2000年の製品です。
FLMからはDB 91 1595(4030)が1997年に最初に発売され、その後、DRG、KPEV等各種の仕様が追加になりました。
なおBR 91は、BR 80がベースになっていたFLM伝統のラック式蒸機のベースとしても採用されました。
フルスケール化以降の同社製品の例に漏れなく、感じが良いですし、細密感があります。
ところで私は、FLM社製の機関車からはすごくカチッとした感じを受けます。
恐らく、直線、水平、垂直がきちんと出ているのだと思います。
これはスケールモデルにとって、大変重要なポイントと思いますが、実はあまり出来ていない製品も多いです。
(あくまで個人的な意見ですが、ラテン系やオーストリア製品に見られる気がします。この世界の大先輩は、韓国製ブラス製品はこの点が劣る物が多いので好きではないと言っていました。)
昔の同社製品とは異なり、黒塗装されておりますので、小型機ながら重量感があります。
完全つや消しでないところも良いかもしれません。
レタリングもきれいですね。
足回りは緻密な方だと思います。
FLMなので車輪は金属ですし、金属製のロッド等がいい感じです。
またこのような小型機は、黒染め車輪が必須と思います。
足回りは緻密な方だと思います。
FLMなので車輪は金属ですし、金属製のロッド等がいい感じです。
また特にこのような小型機には、黒染め車輪が必須と思います。
1990年代発売の小型機ですので、伝統の円形モーターではなく普通のモーター(Bürler)を使用しています。
KPEV機はあたりが悪く、起動時にコミュテーターがショート気味になりますが、こちらはそのようなことはありません。
上記の通り、いかにもFleischmannと言ったかちっとした趣です。具体的には、水平、垂直や直線がはっきり出ていることですね。
機械なら当然なのですが、模型では存外、これが出来ていないものが多いです。
初回発売が1997年だけあって、シャープな金属製動輪です。
色もいいですね。
ロッド類はこれまた実にシャープですが、時代的に色が明るめです。
独特の形状のキャブ。
小型の側面窓が並んでいるのは本形式くらいでしょうか?
レタリングもいつもどおり美しいです。
非公式側。
給水ポンプもシャープですね。
完全なつや消しではない黒も質感を高めているように感じますが、好き嫌いが分かれるところかも。

車輪の上の赤い配線もシャープですね。こういうのよく曲がっているのがあるので。
最も実車は少し曲がっているのかもしれません。
ボイラー上の鐘とか配管もいいですね!

今はじめて気づいたのですが、BR 91のキャブは左右側面で非対称なのですね。
こういうのは珍しいと思います。
ほんといい感じに見えます。
って、模型としての話であり、実車と比較したわけではなので、ご注意の程を。
FLMの90年代行の製品はライトの内側に反射板の白部品が付くのが効果的ですね。
金属製のバッファーは今や常識となりましたが、いいですね!
ゴムタイヤを装備していることもあり、平坦線では2軸車を10両以上引いても問題はありません。
小型機にしては、力も十分と思いますし、低速も利きます。
走行音は普通ですが、何しろ小型機ですのでサウンド化は難しいかもしれませんね。
時代的に前照灯は電球です。
ライトは前後進共に点灯します。
残念ながら日本では小型蒸機のモデルは少ないです。
特に量産品となると、全スケールでほぼ皆無と言っても過言ではありません。
その点、欧州型には小型車両の模型が多数ありますし、概して出来も走りも良い物が多いように感じます。
26.4mフルスケール車を前提とした場合、小型レイアウトには大いに無理がありますが、この手の小型車両を前提とした小型レイアウトには、NやZなどの小さなスケールとはまた違った切り口があるかもしれません。
特に絶対的な工作のしやすさではHOの方が楽だと思いますし。
まあ小型車両は古いものが多いので、そちらからの制約は必然的に発生しますが。
それでも3軸Umbauwagenくらいまでなら、車両はかなり小さいですしね。
実はDR機って、なんて言うかあまり趣味じゃないんですが、フルスケールのFLMの蒸機の中古は殆ど出ませんので、思わず買ってしまいました。
実際、これより後にBR 91.3-18の中古は一度しか見たことがありません。
FLMの蒸気機関車は高額ですし、数も少ないのでしょうね。
2003/3/12 入線
2019/1/21 記
2020/1/14 文章修正の上、再録
2020/6/2 Blogger用に再構成
2020/10/18 写真全面更新、文章追記、修正
↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。
↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。
是非ご覧になってください。