我が家の1号機関車 DB BR 103.1形特急用電気機関車 103 240-8 (ROCO 4146A)

 10月14日は鉄道記念日でしたので、今回は我が家のHO路線の第1号機関車となったROCOの旧DB BR 103.1を紹介しながら、私のドイツ型HO路線開業当時の思い出話をしたいと思います。

 DB BR 103.1は西ドイツ国鉄 DBが誇る特急用電気機関車です。

 ドイツの鉄道というと、今でこそICEシリーズを思い浮かべる方が多いと思いますが、一昔前までは、ドイツの鉄道に詳しくない方でも誰しもが知っていた存在、それこそBR 103です。

 BR 103は西ドイツ国鉄のトップスターであり、代名詞的存在であることに異議を唱える方は恐らく殆どいらっしゃらないのではないでしょうか?

<BR 103.1 主要諸元>

 バッファ間距離:18.4m、運転重量:132t、軸重:22t、実用最高速度:200km/h、短時間出力:5,400kW、連続出力:4,800kW

 1965年に試作1号機 E03 001が誕生しましたが、何分にも経験のない高性能機だったため、長期に渡り、広汎な試運転が実施されました。

 そのため量産開始は1970年からとなりましたが、それから1977年までの間、試作機4輌、量産機132輌が製造され、西ドイツ全土でTEE、ECなどの国際特急、ICなどの国内特急を牽き、大活躍しました。

  本機なくしては、IC網の整備は不可能でした。

 後継機BR 120が成功しなかったこともあり、BR 103.1は当初の計画よりも長い2004年までの間、優等列車運用に充当されました。

 30年以上、トップスターとして活躍したことになりますね。

 非常に人気の高い車種故、動態保存機が複数存在します。

 BR 103の形態の変遷ですが、試作車と量産車では大きくスタイルが異なります。

 試作車は雨樋あり、エアフィルタが一段配置ですが、量産車は張上屋根、換気の必要性が増したため、エアフィルターが2段に増えました。

 量産車は最初ひし形パンタで出場しましたが、やがてシングルアームになりました。

 ひし形の機種にはBR 111とパンタを振り替えたものがあります。

 何と言っても大きな変遷は塗装です。

 当初、代名詞とも言えるTEEカラーでしたが、1980年代の後半に赤(Orient Rot)に塗り替えられました。

 前面の白い塗装(よだれかけ)も含め、当時、とても評判が悪かったですね。

 しかしDBですので、DBAGを経て終焉までTEEのままのも居ました。

 殆どの機種はこの2色でしたが、例外的な存在として、103101-2がLufthansa色、ROCOの広告機となった233-3が交通赤(Verkehrs Rot)、220-0号機が青/黄/緑の迷彩色のようなカラー)、222-6がRailAdventure色になっています。

 さて、ドイツを代表する機種だけに模型の方はそれこそ全ての量産メーカーが手がけたと言っても過言ではない状態となっています。

HOの量産品では下記となります。年は初回発売 出典:Modell-bauwiki 

試作機 E 03(BR 103.0)

 メルクリン 初代 1966年
 Lima 1992年
 メルクリン 二代目 2001年
 TRIX 2003年 メルクリン二代目と同じ?
 ROCO 2003年

量産機 BR 103.1

 メルクリン初代 1971年
 Fleischmann 1971年
 Lima 初代 1977年?
 ROCO 初代 1981年 長胴型
 TRIX 1989年 メルクリン?
 Lima 二代目 1989年
 ROCO 二代目 1998年
 ROCO 長胴型 2001年
 メルクリン 二代目 2003年
 TRIX 2010年メルクリン
 Piko 2015年

 なお、以上は主要な仕様であり、細かいバリエーションについては、それこそものすごい数があるので把握しきれていません。 

 それで今回、紹介するのは、1981年に発売されたROCOの初代モデルとなります。

 当方のハンドルネームにもなっているBR 103ですが、欧州型では一番好きな車両です。

 今まで、E 03や他スケールも合わせますと、延べ20輌以上保有しましたが、現在でも12輌在籍しています。

  その中で一番古いこの一台は、実は私にとって記念すべき1輌、すなわち欧州形HOの第一号機となります。

 昔は記録をつけておりませんでしたので、残念ながらこの車両を購入した正確な日付がわかりませんが、記憶では1985年の冬、川崎の共立工芸で購入いたしました。

 当時の価格は19,800円でした。

 

 この独特の書体は小西さんのものですよね。

 以前も記しましたが、私はエクセルで車輌の管理を行っていますが、この原型を作ったのは1991年のこととなります。

 ですので、これ以前のものやスタートしてからしばらくの間のものは、記録が曖昧になってしまっています。

 余談ですが、この手のリストはつけておいたほうがいいですよ。

 残念ですが、記憶ほどあてにならないものも多いですし。まして歳を取りますともうどうにもなりません。

 話を戻しまして、うちの第一号機となったBR 103ですが、欧州型の車輌の入手が難しかった1980年代~90年初、我が家では常に主力機でした。

 以前も記しましたが、この頃はまさしく「欧州型真冬の時代」でした。

 個人的な部分を含む当時の背景としては、

・それまで外国型を扱っていた代理店が次々撤退

  朝日通商:Lima、ツクダ:ROCO

・モデルバーン開店前

・天賞堂は僅かに欧州型を扱い

・デパートに欧州型の売れ残りあり

・関東圏の欧州型扱い模型店は、渋谷のチムニー、アサヒホビー、川崎の共立工芸くらい。

・メルクリンは全盛期を過ぎていたが、欧州型HOではもっとも力のある存在。不二商扱いで有名デパートには必ず置いてあった。(ただし、とてつもなく高かった。当時のアナログ蒸機で7万円!とか)他方、レオやデルラインなどの個人店もあった。

・通販はあったが、電話発注で、送金も為替や郵便振替だった。銀行送金なんかなかった。

・個人輸入など夢の話

・クレジットカードも持っていない→そもそも使えない店が多かった。

・インターネット→影も形もない。そもそもパソコンは趣味の世界。会社でも各部門に数台あるだけの時代です。ちょうどMS-DOSが出始めた時期で、私はBasicを使っていました。

  おそらく今の若い方々には全く想像できないと思います。 

 さて、そんな1980年代半ば、趣味の志向は、通っていた模型店で決まることが多かったのではないでしょうか?

 今も昔も外国型は少数派であり、扱っているお店も限られ、当然のことながら、店主の方も個性の強い方ばかりだったように記憶しています。

 私は学生時代、小スケールAFVに大変傾倒しておりましたので、当時、HOサイズの軍用車両から知ったKibri製品や、あこがれの存在だった「リーリプト」(昔のTMSにはこう書いてありました)のHOeナローから、共立工芸の存在を知りました。

 当時、私は山梨におりましたので、通販でLiliputのOeBB 2095やKibriのトラックを買ったのが最初です。

 そして就職してから、初めて店に行き、それから結構な頻度で通いました。

 多分、1984年のことでした。

 どんな時代かと言えば、私自身は隔週週休二日、社員寮も相部屋の時代です。

 最初、LiliputのナローやBemoのクロコダイルを買いましたが、寮が一人部屋になった?のを機に、ついにHOの世界に足を踏み入れたわけです。

 この頃の共立さんは、夕方6時になるとビールの時間になり、楽しかったですね。

 何を話したのかあまり覚えてはいませんが、模型談義だけでなく、いろいろな話をしました。

 何人か常連の方がいらっしゃったのはよく覚えています。

 なお、私は渋谷にあったアサヒホビーさんでも、ビールをごちそうになったことがありますよ。

 それはともかく、共立さんの扱っている製品はLiliput、Kibri、Bemo、TRIX、ADE(これは全く手が出なかったが)等に限られておりましたので、その後知ったチムニー(渋谷の古い方の店です)へよく行くようになりました。

 あの頃の私は、渋谷でチムニーへ行ってから東横線で共立、あるいは開店したばかりの横浜のモデルバーンに寄って、共立でビールをご馳走になるってことをよくやっておりました。

 たまにはアサヒホビーなどにも寄りました。

 天賞堂へも行きましたね。

 足繁く通うようになったのは、ROCOの代理店となった後のことですけど。 

  そのためか、私の極初期の保有車両は、記憶の限りではこんな感じでした。

共立

 ROCO DB BR 103.1、SBB Ae 6/6、TRIX DRG E 75 02、Liliput Schuerzenwagenセット(DB Ep.IV)、DB Bm 232×3

天賞堂

 ROCO DB BR 140緑、Gos 245×2、Vlmmhs 63、Pwghs 54 

西武百貨店しぐなるはうす

 ROCO ADmh 101(ドームカー)、DB Umbauwagen 4軸×1、3軸×1、Am 203、BDymf 456、Lima Re 6/6緑旧、U-Hansa

チムニー

 ROCO DB V 200、BR 491ガラス電車、Lima BR 430、28cmK5(E)セット、SBB Re 4/4II緑

 欲しかったと言うよりも、これしかなかった感が満載ですね。

 この後も、FLM KPEV T-16+客車セット、KPEV G 8.2+貨車セット、ROCO DRG Ep2+3軸客車セット、BR 98.3+ローカル客車セット、TRIX BR 98.3、ET 87、VT 62などを買いましたが、1996年頃に車両を整理した際、全て手放しました。

 今の私なら全く別でしょうが、ラインゴルトもUIC-Xも1/100しかない時代に、これらマイナー車両の価値なんかわかりませんでした。

 これに比べれば、チムニーで取り寄せてもらったROCO等のTEE/IC客車、UIC-Xの方が一般的でしたが、いずれも1/100であり、全て手放しましたね。

 ということで、初期の車両はほとんど現存しませんが、数少ない1輌がこちらのBR 103です。

 それでこちらのBR 103.1ですが、当時の所有車輌では、もっともよく走りましたね。

 力もトルクもあり、速度も出ました。

 以前記した大昔の西澤のパック/日本型の450R金属道床線路でもよく走りました。

 動力はこの当時として珍しい、カルダン駆動による両台車駆動です。

 当時の他社は殆ど片台車駆動でした。

 確か4軸駆動だったような。

 当時の103.1模型の例に違わず、クリーム部分とマルーン部分で車体が分割されています。

 ROCOの初代モデルは、車体上部のネジでボディを固定してありますが、このネジは極めて扱いにくいです。

 私は、一度パンタアームを折ってしまったことがあります。(ダイカストも劣化していたようですが)

 台車は原型です。

 出来自体は40年以上前とは思えないくらいですが、私的に一番気に入らないのがこの部分で、BR 103.1は200km/h運転(恐らく1978年以降)のため、初期車はパンタが菱形のDBS54 (Dozler Bahn-Stromabnehmer, Entwicklungsjahr 1954)から、SBS65 (=Siemens Bahn-Stromabnehmer, Entwicklungsjahr 1965)へ振り替えられると共に、台車にヨーダンパーが取り付けられました。(パンタ形式については、Die Bundesbahnzeitを参照)

 最初からSBS65で落成した車もすぐにヨーダンパーが取り付けられたはずなのです。

 しかし、BR 103.1のHO模型でヨーダンパーが再現されたのは、Fleischmannの後期製品、そしてROCOのリニューアル版の該当製品のみなのです。Pikoは見たことがないですが、ついているかも。

 メルクリンの新BR 103.1はもっとも似ているように思いますが、台車は原型のまま(一説によると台車枠は旧製品の転用?)です。

 ヨーダンパーは客車でも省略される例が多いですが、写真等では大変良く目立ちますので、ぜひ装備して欲しいです。

 パンタは標準的なものですが、今でもこれでもいいような気がします。

 ROCOの新版は繊細すぎますし、固定できなくなることが多いです。(←この対策は別途記載予定)

 ワイパーは印刷ですが、今の別体のほうがいいですね。

 色は黄色っぽいですが、実物もこのように見えることもあります。

 塗装自体は安っぽくないです。むしろ、FLMの方がプラが透ける傾向にありました。

 DB Kekは飛び出しすぎていますね。

 ROCOの新版は複数品種兼用の関係からか、印刷になってしまいました。

 初期車は鋳物のKekを装備していましたので、昔のだるま屋のエッチングが欲しいところです。

 当時故、レタリングは書体がいまいちですね。

 ところで当時の世評では、Fleischmannの BR 103.1が神話的に高評価を得ておりました。

 私が入手するのは1992年まで遅れることになりますが、あくまで個人的な意見ながら、私にとってFLMのBR 103は期待はずれでしたね。

 いつも通り、ハズレを引いたのかもしれませんが。

 ともかく走りが重くて、全然軽快に走りません。

 トルクも低かったですし。

 絶賛されていたスタイルも、以前の記事の通り、デフォルメが過ぎて全然似ていないように感じました。

 特に太り過ぎで、明らかなオーバースケールなのは、編成で見たときに私的には良くないと思いました。

 これは極論ですが、当時絶賛していた方、本当に模型を見て、実物と比較したことがあったのでしょうか?

 それはともかく、とれいんNo.178(1989年10月号)に、「大好きな103を語る その魅力・模型 そして楽しみ方」という記事において、斯界の有名人が集まって、BR 103及び各社製品の論評を行っています。

 この中で評価の高いのはメルクリンでしょうか。

 座長を努め、ドイツの鉄道では有名な南正時さんは、ROCO製品が一番良く出来ているとおっしゃっています。

 ROCOは当時唯一の7次形でしたから、他とは一概に比較はできないものの、私的にはちょっと癖はあるものの、決して悪くないと思っています。

 ただ明らかに径が大きくて、飛び出し過ぎの下部前照灯はマイナスですし、FLMとは逆に痩せすぎに見えなくもありません。

 もっともBR 103の前面の曲線は大変複雑であり、率直な話、写真ごとに見え方が異なると言えなくもありませんので、見る方が100人いれば、100通りの解釈ができると言った方が正しいのかもしれません。

 そういう意味で、好きな模型も個々人で変わってきて当然なのでしょう。

 それで欧州型の常で長年、旧世代の模型しかなかったBR 103も、1990年代の後半から、一転して完全新規製品が次々と投入されました。

 まずROCOが完全新製品として量産型、長胴型を多数投入しました。続いて、ドイツ型の雄メルクリンが決定版とも言える製品を発売しました。

 どういうわけかTRIXは殆どメルクリンの2線仕様を出しませんが、2015年にPikoが廉価版と言いながら大変感じの良い製品を発売しました。

 長い間、メルクリンの独壇場だった試作機も、Lima、ROCO、メルクリンより相次いで完全新規製品が発売されています。

 世代交代はこの世界の常であり、長年うちの主力だったBR 103 240-8ですが、その後、Lima、FLMが入線、そして2000年代に入ってからROCOの完全新製品が複数入線し、更にmfxフルサウンド仕様のメルクリン機が導入されると、本機は全く運用されることが無くなってしまいました。

 私は不要車両を手放すことには、殆ど抵抗がありませんが、本機のような旧製品は、今や全く値段がつかないので、取っておくつもりです。

1985年入線 新品


2018/10/14 記
2019/12/4 再録
2020/10/17 写真全面更新、文章修正の上、Blogger用に再構成


↓当方HPです。こちらもどうかよろしくお願いします。

db103rheingold.web.fc2.com


↓当方も参加しております。実物、模型などいろいろな鉄道ブログがあります。

是非ご覧になってください。

鉄道コム

人気の投稿