ドイツ連邦鉄道 重貨物用電気機関車 BR 194 112-9 (Märklin 3322)
今日はドイツを代表する重貨物用電機 E 94型を紹介します。
ドイツのクロコダイルとして、つとに有名なE 94型は、第2次世界大戦開戦後の1940年、勾配線区の重貨物用として製造が開始されました。
<DB BR E94 主要諸元>
バッファ間距離:18.6m、運転重量:118.7t、軸配置:Co’Co’、軸重:19.8t、出力:3,300kW、最高速度:90 km/h、動輪径:1,250mm
平地で2,000tの貨物列車を85km/h、10パーミル以上の勾配で1,600tを40km/h、16パーミル以上で1,000tを50km/h、25パーミル以上で600tを50km/hで牽くことができたそうです。
BR E 94は、1940年から1945年及び、1954年から1956年の間、合計200輌が製造されました。(ÖBB製造を含む)
なお、DBでは1970年以降、戦後製造分を中心に出力を4,680kWに増強し、最高速度 100km/hとした500番台車に26両を改造しました。
DBでは1968年のコンピューターナンバー化により、BR 194 及びBR 194.5 となりました。
一方、DRではBR 254となりました。
BR E 94は、その優れた登坂性能より戦前より、ドイツの一部となったオーストリアで使用されておりましたが、戦後、44輌がBBÖへ継承された他、上記のように3両を残存部品を用いて増備しました。
ÖBBのE 94は1954年にReihe 1020と改称され、車番も変更になりました。
更に1967年から1980年にかけて、殆ど機種が更新改造されました。
この改造は、前面がHゴム支持の2枚窓になり、ボンネットのエアフィルタの形状が変更になるなど大掛かりなものでした。
BR E 94は主に貨物運用に使われましたが、客車を牽いたこともあります。
本機の特筆すべき運用として、勾配線区の補機としての活躍が挙げられます。
DBでは、南ドイツのSpessart Ramp、そしてÖBBではBrenner峠やArlberg超えで大活躍しました。
DBでは1988年まで、DRでは1991年まで、ÖBBでは1995年まで活躍しました。
以上、Wikipedia DR-Baureihe E 94より、引用、参照いたしました。
現在でも動態機 3輌を含む 32輌(うち博物館 23輌)が保存されております。
中でも特筆すべきは、194 158-2と194 178-0です。
女性運転手 Barbara Pirch氏が経営する貨物輸送会社Rail4Uに所属するこの2輌は、2000年代に現役復帰し、貨物運用に使われることになったのです。
珍しい出来事だったためか、Barbara Pirch氏はメディアに盛んに取り上げられました。日本の新聞にも記事が掲載されたのでご覧になった方も多いかと思います。
なお、194 178-0は元194 580-7 ですが、DB時代唯一のタルキスベージュ塗装だった178-0号機を引き継いでいます。
しかし178-0 号機は2013年に事故を起こし、休車となってしまいました。
その後、158-2号機は活躍を続けましたが、2017年5月に引退し、Barbara Pirch氏自身も2018年に引退し、同時にRail 4Uも休止したようです。
幸いなことに158-2、178-0の2両とも保存されているようですね。
またÖBBの1020は現在でも17輌(うち博物館 13輌)が保存され、うち6台は稼働しているようです。
以上、保存機の現状につきましては、Eisenbahn-Museumsfahrzeuge より引用させていただきました。
さて、HOのBR E 94 ですが、Modellbau-Wikiによりますと、一番最初に模型化したのはTRIX(1964-1971)のようですが、こちらは見たことがありません。
次に発売されたのが今回紹介するMärklinです。
こちらは製造初年が1964年という古い製品ですが、長きにわたって製造されMärklinの代表製品となりました。
実際、2012年、基本的には同じ型で、mfxフルサウンド仕様(37228)が発売されました。
うちのはDB 194 112-9とあり、ブリスターに入っていましたので、3322としては1987~1993年に生産された比較的新しい製品ではないかと思われます。
古い製品は紙箱+発泡スチロールでしたので。
なお、3322は車輪を黒染めにして、1997年まで製造されたようです。
この製品が何よりもいいのは、この質感です。
メルクリンのE 94は主要部分が全てダイカスト製なので、重量感満点です。
また少々明るい感じで重厚な緑塗装(Chromoxidgrün)が、E 94らしさを醸し出していると思います。
キャブ上の手摺が一体なのは残念ですが、これだけの質感に、安っぽいプラ製品の組み合わせなら、私は、これでもよいと思います。
ところで、MarklinのE 94で好き嫌いが分かれるとしたら、それは前照灯の大きさですね。
こればかりは明らかに大きすぎます。
ライトが暗かったからでしょうか?
古い製品には、他社でもこのようなものが散見されますけど。
ちなみにクロコダイルですが、鰐ですよね。
欧州ではSBBのBe 6/8が有名ですが、急曲線通過用に車体が分割されて首を振るもので、ボンネットのあるものをクロコダイルと称しているようです。
箱型車体で分割されているものは、クロコダイルとは言いませんから。
E 94もボンネットは台車に固定されているので、首を振るんですよ。
ちなみにドイツ型でクロコダイルの異名を取るのは、E 93、E 94、V 29だけと思います。
面白いのはV 29で、簡易線区mゲージ用の小型DLですが、ボンネットが首を振る構造になっています。
E 94と言えばごつい台車が代名詞ともなっておりますが、ダイカスト製なので、安っぽさがありません。
動輪もダイカストです。
時代的に塗装されておりませんが、タイヤの黒染めと輪芯の塗装をするだけで格段に良くなるでしょう。
キャブ横の手摺とステップが金属製なのも、細密感をアップしていますね。
この部分に関しては後年のROCO製品も最初、手摺は一体成型、後にプラの後付となりました。
ほんとらしさがよく出ていますね。
上記のように台車は現代のプラ製品のようなディテールこそありませんが、質感はとても良いと思います。
上記のように、こちらは後年の製品と思われ、塗装やレタリングももきれいですね。
E 94にはこのように車体下部に白線が入るものと入らないものがあります。
パンタや碍子もごついですが、E 94らしいかも。
前面形状は似ていると思います。
それだけに前照灯の大きさがより気になってしまいます。
バッファは鉄製の挽き物なので、サビは出てしまっていますが、真円感、質感や強度はプラ製の比ではありません。
塗ってやらないとですね。
なお、E 94は立ち乗りです。
<194動画>
DB現役時代のを探したのですが、思いの外ありませんでした。
保存機など比較的近年のものです。映像が美しいです。
映像は悪いですが、バリバリのDB現役時代。
勾配で有名なGeislingen an der Steigeです。
E94/194の動画はまだありますので、またの機会にご紹介したいと思います。
あと、MärklinのBR E 94を物語るエピソードとしては、牽引力の大きさです。
Märklin最強力のLFCMモーターを装備しているだけではなく、重量バランスやギア比の選択が正しいのでしょうね。
ウォームギアを全く使っていないことも、スムーズな走行に寄与していると思います。
メルクリンのE 94は模型機関車としての牽引力で、ギネスブックに載っているそうです。(デジタル仕様、特殊改造機?)
このあたり、詳しい方のご指導をお願いします。
ちなみにモーター周りはこんな感じです。
片台車の三軸を駆動します。
こちらは品番3322からもわかりますように、アナログモデルです。
一時、デジタルに改造しようと思いましたが、LFCMは3極であり、ESUのハモマグネットで改造すると、前に失敗したDB BR 011のようにぎくしゃくしてしまいそうなので、やめました。
アナログでもすごく走行性能がよいので、このままにしておきますね。
話は変わりますが、こちらを入手したのは、約10年ほど前のことになります。
某オクの鉄道模型-その他を見ている時に、ブリスターだけに入っているこれを見つけました。
「Nゲージ 動力車 格安でどうぞ」との触れ込みで。
今はこういう出品は全くなくなりましたが、昔はごく稀にこのようなことがあったのですね。これがNやHOに出ていれば、たぶんこんなことはなかったのですが、私自身もまず見ることがない過疎ジャンルだけに落札できました。
とは言っても競合したので、最終的には7,260円になってしまいました。この当時は格安でしたけど、欧州型が暴落している現在なら、もっと安く入手できたでしょうね。
届いたら、ほとんど傷もなくきれいでしたが、ブリスターだけで、外箱等はありませんでした。このブリスターにDM表示の値札が貼ってありましたので、恐らくですが、ドイツで買ったものをもらったのでしょうね。
付言しますと、こちらのブリスターはまっ茶色に変色しており、その後、ぼろぼろになって崩壊してしまいました。メルクリンのブリスターには、このようなのが時折ありますね。
それで、運転しようとしたら全く動かないんです。
でも、通電している様子はある。
そこで、はたと気づきました。
以前、Märklinの電動タワークレーンを譲ってもらった時に、同じようなことがあり、それはモーターの主軸が劣化したグリスで固着していたからだったのです。
すぐに通電を中止し、モーターをばらすと案の定、回転子が完全に固着していましたので、慎重に分解すると、グリスが完全に固まって粉になっていました。
固着したグリスと取り除き、注油してから再組み立てすると、今度は快調に走行しました。
メルクリンの純正グリスはこのようなトラブルがあります。特にZが多いようですね。
うちではアナログ三線式の活躍の機会は少ないですが、大のお気に入りの車種なので、これからも大切にしたいです。
2004/11/24 入線
2014/9/8 記
2019/12/17 写真追加、文章修正の上、再録
2020/10/6 写真全面更新、文章書き換えの上、Blogger用に再構成
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