ドイツ連邦鉄道 戦時型貨物用蒸気機関車 BR 52 3329号機 (Märklin Hämo 8315)

 BR 52は、ドイツ国鉄 DRGが開発した戦時型貨物用蒸気機関車です。

<BR 52 主要諸元>

 型式:1'E-h2、バッファ間距離:22,975mm、運転重量:84.0t、軸配置:1E、軸重:15.4t、過熱式二気筒、出力:1,192kW、ボイラー圧力:16bar、最高速度:80km/h、動輪径:1,400mm

 BR 52には、軸重15tで1200tの列車を65km/hで牽引できる性能、そして、戦時損失と増大する輸送需要に対応する短時間での大量生産、さらに戦地におけるハードな取扱いに耐える堅牢で簡素な構造という、互いに相反する特性が要求されました。

 要求にこたえるために、徹底した簡素化(給水加熱器なし、エゼクターのみで、給水ポンプもない)が図られると共に、コストダウンのため、使用材料も出来るだけ低廉なものが使われました。

 台枠は板材の貼り合わせで、軽量化のための穴抜き加工は、バーナーで開けただけで、仕上げもなかったんだとか。

 極端な言い方をすると、「戦争が終わるまで持てばよい」というような機関車だったのです。

 その一方、北のノルウェーでの使用のための密閉型運転台の採用や、初のWitteデフの装備などと言う、新機軸も取り入れられています。

 その努力が功を奏したのか、15,000輌と言うとてつもない生産計画に対し、1942年から1945年までに、ドイツおよびその同盟国、また占領した各地で合計7,000輌以上が製造されました。

 なお、製造数は確定されておらず、さらに増える可能性があります。

 まさしく戦時急造型と言え、これを特徴づけているのが、有名なこちらのニュース映像ですね。

 11分35秒頃からですが、全編通じても見どころが多数あり、今見てもすごくインパクトがありますね。

 このフィルムのBR 52大行進は、合成と言われてきましたが、よく見ると、炭水車などそれぞれの仕様や番号には少なからず差異があることから、全てが合成とは言い切れないと思います。

 BR 52は、さらに戦後、残存した部品を用いて300輌以上が追加製造されました。

 加えて、ソ連、ポーランド、トルコでコピーが生産され、これらを合わせた総合計は10,000輌以上となるという資料もあります。

 いずれにせよ、これは西欧で作られた蒸気機関車としては、第1位の数字です。 

 このように大量に作られたBR 52は、ドイツの占領した全欧州で幅広く使用され、戦災で多数が失われたものの、DB 約700輌(戦後生産分含む)、DR 1,150輌、ソ連 2,000輌以上、ポーランド 1,200輌、オーストリア 700輌等、北はノルウェーから南はトルコまで、ヨーロッパ各国に多数が引き継がれました。

 戦時機関車だけあって、ドイツ本国よりも他国へ渡った方が多いのですね。

 このうち、DBでは1962年までの使用にとどまりましたが、その他の国では長い間使用され、更新を受けたDRでは1980年代まで、そして営業線上の最後の1台は、現在もボスニア・ヘルツェゴビナで使用されているそうです。(この項カゲノさんから情報をいただきました。ありがとうございました。)

 戦時急造型と言いながら、基本設計の優秀さを表すものと言えましょう。

 現在でも多数の動態及び静態機が存在します。

 以上、Wikipedia 独語版 DR Baureihe 52 より引用、参照いたしました。

 

 さて、飾り気の全くないBR 52ですが、Modellbau-Wiki によりますと、模型の方は各社から発売されております。

 HOでは、1960年代のKleinbahnが一番古く、1973年にPikoから (復水テンダー)、1980年頃にLiliputから、1992年にGützold (Steif­rahmen­tender)、1994年にMärklinから、それぞれ発売されました。

 上記のようにこちらのメルクリン製品は1994年の発売です。

 同社の動輪ギア駆動式の大型蒸機としては最後の製品だったと思います。

 BR 52は、幅広く使われたので、ドイツだけでなく、各国の仕様が多数発売され、最近ではmfxフルサウンド仕様も発売されておりました。

 ボイラー、シャーシー、車輪がダイカスト、キャブ、テンダーがプラ製という、メルクリンスタンダードの構成になっている他、この当時のBR 50やBR 44と同様、急曲線対応のため台枠が二分割になっています。

 1990年代製品だけに、弁装置周りやロッドは繊細な出来と思います。

 ディスク式の先輪も小さな穴が空いていていい感じですね。 

 ギア駆動式なので、第4、第5動輪にギアが付いてます。

 写真では結構目立ちますが、実際にはそれほどでもないかも。

 BR 52を特徴づける密閉式キャブ。

 炭水車にの端面が丸くなっていますが、同じ形でキャブ後方に穴が空いています。

 戦時型だけに、殺風景とも言える側面です。

 デフはブリキ板ですが、感じはいいです。

 第三動輪上の機械はポンプに見えますが、本機にはポンプは搭載されず、代わりにエジェクター装備したはずです。戦後、DBで搭載したのでしょうか? 

 メルクリン製品なのでボイラーがダイカストですが、質感がいいですね!

 あっさり下でディテールです。

 レタリングはきれいですね。

 いわゆる戦時型キャブです。

 ハンドレールは一体ですが、Fleischmannのように細かくはないですね。

 北のノルウェーでの使用を考慮した防寒形のキャブ。

 キャブ後方の丸い穴が見えますね。

 炎熱地区での使用は大変だったでしょう。

 ところで、BR 52を特徴づけているのが炭水車です。  

 理由はよくわかりませんが、従来型は使用されず、新規に開発された炭水車が使用されました。

 初期にはSteinframentender 4T30が使われました。

 しかし中心となったのは、こちらのWannentender(バスタブテンダー)2'2' T 30でした。 

 日本でも戦時型のC59やC57が採用した船底テンダーですが、より徹底した構造で、まるでフレームレスのタンク車のようです。

 このテンダーは形態に似合わず優秀だったようで、BR 50等でも装備した他、BR 52が廃車されてからも、BR 38型(P 8)に転用されました。 

 なお、水の少ない地方(ロシア南部)での使用のため、炭水車に空冷塔を装備した復水型機関車が作られました。

 本機に関しては当方の以前の記事を参照お願いします。  

 走行の方ですが、モーターは定評あるDCMで、ギアは全て金属ですので、走行音は高いですが、確実に走るのが好ましいですし、力も十分と思います。

 ただしサウンド化しようとすると、ノイズが高いかもしれません。

 私のは、Hämo(二線式)なので、モーターはDCMの直流型です。  

 80年代製品ですので、それまでと比べるとディテール表現が豊かですが、もともとが戦時型ということで、全く飾り気のない外見をよく表現していると思います。

 私的には好きな模型の一つです。

 DBでは1962年までしか使われませんでしたが、こちらでは長く活躍させようと思っています。

1995/8/29 入線

2015/7/16 記

2020/10/11 写真全面更新、文章修正の上、Blogger用に再構成


 

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