ドイツ国鉄 DRG 旅客用タンク式蒸気機関車 BR 75.10 1009号機(Liliput 75 01)

 今回はドイツ国鉄 DRG の 旅客用タンク機関車 BR 75.10を紹介します。

 DRG BR 75.10は、バーデン大公国邦有鉄道 G.Bad.St.E. の開発した旅客用タンク式蒸気機関車VI c形です。

 

<BR 75.10 主要諸元>

 型式:1'C1' h2t、バッファ間距離:12,700mm、運転重量:79.5t、軸配置:1C1、動輪径:1,600mm、軸重:16.8 t、過熱式二気筒、出力:580 kW、ボイラー圧力:12 bar、最高速度:100 km/h

 G.Bad.St.E. VI c形は、同邦有鉄道の旅客用タンク式飽和蒸気機関車VI b形(DRG BR 75.1-3)の後継機として、1914年から21年の間、9シリーズ総計135輌が製造されました。

 VI bとVI cでは軸配置は同じながら、飽和式と過熱式等の差異があり、形状が変化し、性能も向上しております。

 第一次世界大戦の結果、28輌がフランスとルクセンブルクに引き渡され、DRGには107輌が継承されました。

 バーデン大公国時代に製造された92輌がBR 75.4、1920年に作られた23輌がBR 75.10、DRGが発足した後の1921年に作られた20輌がBR 75.11となりました。

 これらのうち、BR 75.10-11は、補強フレームを持っていたので、以前のシリーズよりも3.4 t大きい運転重量でした。

 当初の使用線区としては、勾配で有名なヘレンタール線が挙げられるようですが、VI bとVI cでバーデンの約半分に達したとの記述もあります。

 DRG化後はベルリン環状鉄道やメックレンブルクで使用され、1941年時には105輌が残存していました。

 戦後、DBへ66輌、DRへ29輌が継承され、DBでは1969年まで、DRでは1970年まで活躍しました。

 現在でも75 1118号機が動態保存され、Amstetten–Gerstetten支線で運転されているようです。

  以上、Wikipedia 独語版 Badische VI c より引用、参照いたしました。

 さて、Modellbau-Wiki Badische VI c によりますと、BR 75.10は珍しい形式だけに、長らくHO模型ではこちらで紹介する1985年初回発売のLiliput製品が唯一の存在でした。

 ですが2017年、メルクリンからもInseider modelが発売されたようです。

 Liliput製品は BR 91.3 の流れをくみ、ボディ、車輪がダイカスト製となっております。

 この製品に関して言えば、真っ黒ではなく、僅かに青灰がかった黒が重量感を醸し出しているように思います。

 ただし写真で見ただけですが、Bachmannに吸収されてからの製品は、他社と同じ真っ黒のようですね。

 統一された材質からくる質感がいいですね!

 当然、ディテール部品はプラですが、それほど違和感がありません。

 ダイカストの車輪は、当時の主力であったプラ製輪芯と比べると質感が遥かに勝りますね。

 車輪が黒染めでないのは残念です。

 時代的にカプラーポケットになっていないのが残念ですね。

 上からの図。

 直線がきっちりと出ているように感じます。

 ベタの黒よりも、深い感じがするように思います。

 Modellbau-wikiによると、こちらの75 1009号機は、1985-1990年とありました。

 これが正しければ、オーストリアLiliputの終焉近くまで生産されたことになりますね。

 約40年前の製品ということになります。

 時代的に銀車輪、銀ロッドなのは、今の目で見ると黒染化したいところですね。

 上からの図。

 直線がきっちりと出ているように感じます。

 ベタの黒よりも、深い感じがするように思います。

 経年でくすんでいますが、壊れやすい汽笛が挽物なのは、質感という点でも、強度の面でも良いですね。

 ボイラー周りの手すりも金属製のため、シャープです。

  残念ながら特徴ある前面スタンションポールが片方欠品でしたので、プラ棒、伸ばしランナーから自作しました。(上写真側です)

 それなりに出来たとは思いますが、オリジナルに比べるといまいちですし、強度が心配ですので、何れ真鍮製に替えたいと思っています。

 サイドタンクもダイカストなので、重量感がありますね。

 あとブレーキ棒が外れてしまっています。

 直しておかなくては。

 金文字はどうしても経年でかすれますが、約30年前としてはきれいです。

 ”Rbd Karlsruhe" や "Karlsruhe Hbt"は読み取れますね。

 フロントの形状がどことなく、バーデンIVc(BR 18.3)に似ているように思います。

 ロッド周りもとてもシャープですね。

 この当時はまだプラ製のロッドの製品が他にはありました。

 リベットの感じもなかなかです。

 制式機とは明らかに異なるキャブ。

 プロイセンやバイエルンともまた違います。

 つぶれているように見えますが、車両限界でしょうか?

 でもその割に煙突は高いですね。

  

 何か真四角なキャブ形状ですね。

 そうそう、こちらはまだ灯油ランプを装備しています。

 ランプ自体の成型はなかなか優れていますね。

 ところで、この製品の特徴として、箱が挙げられます。

 写真のように普通の箱にプラスティック製のガイドが入れてあり、中で機関車が動かないようになっているのです。

 

 オーストリアLiliputの晩年製品は、このように箱の中で車輌を固定することにより、車輌が箱の中で動いて破損するのを防止しています。

 2000年代のKATO製品を20年以上、先取りしていたことになりますね。

 ただしKATOとは異なり、プラの材質が硬いので、色が剥げたり、当たり痕がついてしまうのが問題ですけど。

 本機はEp. II仕様、それも上記のように前照灯が石油ランプの時代です。

 しかし、他にはナンバーの色くらいしか変化がありませんし、終焉が1969年ですので、Umbauwagenなどを牽かせても似合いそうですね。

  走行は悪くなく、むしろ良い部類と思います。

 ただし、分解したことがないのでわかりませんが、Liliputですので、もしかするとゴム動力かもしれません。

 こちらは1996年のスワップミートで入手しました。

 譲ってくださった方は、DRG時代の蒸気機関車全形式のコレクションを目指していたそうですが、確かOに切り替えるためコレクションを手放しているとのことで、何両か我が家にやってきました。

  Liliputの消滅後、本形式は入手困難でしたが、上記の通り、Bachmannブランドでも発売されましたので、手に入れる機会があるかもしれませんね。

2018/9/23 記 

2019/12/12 写真追加、文章修正の上、再録

2020/9/12 写真全面更新、文章見直し、Blogger用に再構成

2025/8/26 写真配置変更


 

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