ドイツ連邦鉄道 DB BR V 188 電気式貨物用ディーゼル機関車 001a/b号機 (Märklin 37283)
今回はドイツ連邦鉄道 DBが運用した貨物用ディーゼル機関車 BR V 188 について紹介します。
<BR V 188 主要諸元>
バッファ間距離:22.51m、運転重量:147.0t、軸重:18 .0t、最高速度:毎時75キロ、出力:2×660kW= 1.320 kW、改修後2×808kW= 1.616kW、動輪径:1,250 mm、ディーゼル電気式
どこかドイツ型らしからぬスタイルのV 188ですが、もともと国鉄の貨物用機関車として開発されたものではありません。
本来はドイツ国防軍用の機関車 D 311 であり、それも有名な長距離巨大 80cm列車砲 "Dora"、"Gustav"の牽引用として1941年に4編成(8輌)が製造されました。
この80cm列車砲ですが、重量 1,350トン!、全長 47.3 m、砲身長 32.48 m (L/40.6)という、運用された火砲としては空前絶後の大きさです。
また列車砲とは言っても、普通の鉄道線路を移動するのではなく、砲撃用の線路を二本引いて、両方に台車を置き、更に両方の台車をまたぐ形で砲架が載っているというものです。
一見、複線を両方使用しているように見えますが、実際には砲撃用の線路を2本、整備クレーンの線路をあと2本、計8本の線路を使用しております。
あまりにも巨大な80cm列車砲は、分解して一般の線路を使い輸送しますが、D 311はこの分解状態の牽引用として、またさらに、組み立て後の列車砲の動力源として使用されたそうです。
当時、ディーゼル機関車の液体式はまだ小型機しかありませんでしたが、本機はエンジンで発電し、その電力で電動機を回す電気式ですので、動力源としては好都合だったのでしょう。
さて80cm列車砲ですが、砲自体の操作に約1,400人、防衛・整備等の支援に4,000人以上の兵員と技術者が必要で、また輸送と陣地構築、組み立てに1ヶ月以上かかることもあり、実戦にはほとんど使用されませんでした。
1942年8月のセバストポリ要塞攻略戦での使用くらいしか記録に残っておらず、最後がどうなったのかもよくわかりません。
上記のような問題の上に砲身命数も低く、極めて投資効果の低い兵器と言えましょう。
以上、80cm列車砲については、Wikipedia 日本語版 80cm列車砲 より引用、参照いたしました。
それはともかくD 311は、戦争で4輌(2編成)が廃車となり、残った4輌(03、04の2編成)がDBにV 188 001/002として継承され、001号機が1969年、002号機が1972年まで貨物運用に使用されました。
1957年、エンジンが1,100HPのV 200のものに置き換えられ、また1968年のコンピューターナンバー化でBR 288に改称されました。
なお廃車になった1編成(02)も、部品源として残っていたとの記録もあります。
以上、Wikipedia 独語版 Wehrmachtslokomotive D 311 及び Die Diesellokomotiven der Baureihe D311 / V188 / 288より、引用、参照いたしました。
後者のページは個人ページと思いますが、珍しい写真が満載で記録としても大変貴重なものが揃っています。
それでV 188は、あまりにも特殊な機関車故、模型には恵まれず、Modellbau-Wikiによりますと長年、1979年にLimaから発売された製品だけでした。
DB仕様もあったようですが、何と言っても記憶に残るのは、28cm列車砲 K 5 (E)と貨車2輌、客車1輌のセットです。
当時、Limaは朝日通称の手で国内販売されておりましたので、ご覧になった方も多いと思います。
小スケールAFVに傾倒していた私も欲しく仕方ありませんでしたが、あっという間に姿を消し、入手の機会はありませんでした。
その後、1986~87年頃、渋谷時代のチムニーで取り寄せていただきました。
Limaの旧製品です。
このように期待は大きかったのですが……、やはり旧世代のLimaです。
写真の通り、出来の方はお世辞にもよくありませんでした。昔のラウンドモーターが片方の車体に入っていて、動輪は蒸機(BR 55?)の転用でした。
何よりもイマイチだったのは迷彩塗装で、灰色のグレーの成型色に、サンドゲルブが吹き付けてあるだけ。これではプラそのもので、全体を見ても、おもちゃっぽく感じましたね。また写真のように意味不明の標記が印刷されているのも、マイナスと思います。
更に言うと、セットの無蓋貨車は金属車体の戦後型でしたし、客車はEilzugwagen 36形でしたが、明らかなショートスケールで、そして本来の組み合わせではない28cm K 5 (E)は、案の定というか、先行発売されていた長谷川の1/72キットのデッドコピー版でした。
ただし、長谷川が製作した弾薬車はありません。
こちらについては、当方で弾薬車を自作し、各部に多少のディーテールアップを行いましたので、そのうち、紹介したいと思います。
何しろマイナーな機種なので、続く製品化は難しいと思っていましたが、なんと1998年に同じLimaから完全リニューアル版が発売になりました。
こちらは2モーター装備の完全新規製品のようで、別付け部品も多数あり、その頃の常として、軍用各種を始め、DRG 灰、DB 緑、マルーンなど、多種のバリエーションがありました。
実は一度、中古を購入しようとして、ライト部品が1個欠品だったので諦めたことがあります。
しかしこの直後、無理がたたったのか、Limaは一度目の倒産の憂き目を見ます。
このときは数年後に復活しますが、それからしばらくしてまた倒産します。
Hornbyグループの一員として復活するにはかなり時間を要しました。
その後、D.311/V 188/BR 288は再販されたようです。
今回紹介するメルクリンからは1998年に新規製品として発売になりました。
こちらもLimaに負けず、多種のバリエーションが発売されました。
ただし、D.311はセットで発売されましたが、列車砲は出ておりません。
私はまず、BR 288 002-9 (37284)とD 311 (37203C)を入手しました。
BR 288 002-9はFxサウンド機ですが、後年のサウンド機とは異なり、アナログサウンドです。こちらは、またの機会に紹介したいと思います。
一方のD. 311については、特殊な仕様ですし、同じ機種がたくさんあっても仕方ないので、手放しました。
それで、こちらのV 188 001 a/bは、2014年に入手しました。
メルクリンを卒業されたある方からお譲りいただいたうちの一輌となります。
Limaの旧製品とは異なり、両方の車体にモーターを装備しています。
DCMモーターなのでモーター音は高いですが、よく走ります。
BR 288とは異なり、mfx、フルサウンド機で、エンジン音は速度により変化します。
ただし、サウンドは一般のDLと同じようですね。でも、実車は電気式なので、モーターの音もしたのでしょう。
ダイカストボディですので、質感がいいと思います。
反面、屋根上のグリルが印刷なのは、今の時代には珍しいかもしれません。上の写真通り、D.311にはグリルがないようですので、車体を兼用するためかもしれませんね。
いつも同じようなことを書いておりますが、ダイカストボディは質感ある塗装と相まって高級感を醸し出していますね。
一方、複雑な足回りはプラですが、成型色が良いのか、あまりプラっぽさは感じません。
レタリングもきれいです。
ドアの前方についているのはベルでしょうか?
この「688」という文字は何でしょうか?
こうして見ると、車体のグリルの成形が実感的なだけに、印刷の屋根上グリルがよけいにイマイチに見えますね。
DCMモーターでうるさいながら、力強く走ります。
サウンドの音量も大きい方ですね。
あと、a/bの間が開き過ぎなのは、今の時代には気になるところです。
戦後、V 188は貨物列車を牽いておりましたが、001号機は運用コストがかかるために、1969年に廃車になってしまったそうです。
でも、模型の世界ではこの特異な機関車をいつまでも活躍させたいですね。
2014/1/21 入線
2018/10/8 記
2019/12/4 再録
2020/9/28 写真全面更新、文章加筆訂正、Blogger用に再構成
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