ドイツ国鉄 DRG 急行旅客用蒸気機関車 BR 18.4 402号機 (ROCO 63361)
今回は戦前期のドイツを代表する急行旅客用蒸気機関車 S 3/6 BR 18.4を紹介します。
BR 18.4は、バイエルン王国邦有鉄道が開発、製造した四気筒の高性能急行用蒸気機関車 S 3/6です。
<BR 18.4主要諸元>
型式:2' C 1' h4v、バッファ間距離:21.396m、運転重量:88.3t、軸配置:2C1、最大軸重 18.3t、動輪径:1.87m、過熱式四気筒、出力:1,300kW、ボイラー圧力:15bar、最高速度:120km/h
1920年 DRG発足により統一される前のドイツの鉄道は、各王国が独自の鉄道を保有しておりました。
主要軌間は標準軌1,435mmでしたが、車両は各王国邦有鉄道独自のものでした。
とは言うものの、相互乗り入れがあったことから、標準化が図られ、特に貨車は同一の規格のものも使われるようになりました。
しかし、僅かな例外を除きますと、機関車は各王国邦有鉄道独自のものであり、特に20世紀に入ってから、各王国は競って四気筒のパシフィック (2C1軸配置)の急行型蒸機を製造しました。
有名なところでは、ヴュルテンベルクのC形(後のBR 18.1)、バーデンのIVh形 (後のBR 18.3)、がありますが、中でも最も成功したのがバイエルン邦有鉄道のS 3/6形です。
S 3/6はバイエルン王国邦有鉄道の主任技師アントン・ハンメルの指導の下、J. A. Maffei社で開発されました。
なお、同社は世界大恐慌の結果、破綻したため、Krauss社と合併し、レオパルト戦車で有名なKrauss-Maffei社となりました。現在では中国資本の下にあり、軍事や鉄道車両は他社に売却し、射出成形機のメーカーになったようですね。
話を戻しますと、S 3/6はバイエルン時代の1908年から、DRGの制式機が製造されていた1931年まで、合計159輌が製造されました。
他の四気筒機が早々に引退する中、BR S 3/6は長期に渡って使用されました。
原型機は1962年まで、DBにより更新改造(ボイラー換装等)されたBR 18.6は1965年で使用されました。
最後の一台はミンデンの機関車研究所で使用されていた18 505で、1969年に引退しました。
本機は製造期間が非常に長かったため、形態には大きな変化があり、以下のa~o型に分類されるそうです。
a~c:動輪径 1,870mm、流線型運転台(風切り形運転台)を装備。1908~1911年に合計23両を製造。
d, e:平坦線用、動輪径 2,000mm、角型運転台、1912年に18両製造
f:a~cと同じ。1913年に3輌製造
g:a~cと類似だが、各部寸法が変更。全長150mm短い。プファルツ鉄道向け、1914年に10輌製造
h, i:a~cと同じ。1914~1918年に35両製造
ここまではバイエルン王国邦有鉄道の製造
k:1925年から製造されたDRGの制式機 BR 01は亜幹線での使用が出来ないため、軸重を低減したBR 03が開発されたが、開発が遅延したため、S 3/6は引き続き製造された。1923~1924年に30両製造。過熱面積が52m2から60m2に拡大、ボイラーの使用圧力も15Barから16Barへに昇圧。運転台が角型に変更された。
l~o:軌道の整備及びBR 03の開発遅延のため更に追加生産されたS 3/6。k型に比べて過熱面積が76.3m2に拡大され、また過熱器の性能向上に対応して高圧シリンダーの内径が425 mmから440 mmへ拡大。1927~1931年に40両製造。最後の18両(o型)は世界大恐慌の煽りを食って経営破綻したJ.A.マッファイに代わり、ヘンシェル社で製造された。
こちらのBR 18 402は、a型になるのでしょうか?
S 3/6はその高性能により、主としてドイツ南部の丘陵地帯での優等列車牽引に大活躍しました。
中でも有名なのがF-Zug Rheingoldの運用ですね。
以上、Wikipedia 日本語版 王立バイエルン邦有鉄道S3/6型蒸気機関車 より引用、参照いたしました。
それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、S 3/6は有名機だけ人気も高く、各社から模型化されてきましたが、一番古いのは、1963年の天賞堂だと思います。
ただし、こちらは明らかなオーバースケールでした。
量産品では1970年にTRIXが発売したようです(600番台機:DBのUmbauバージョン)が、私は見たことがありません。
次が1972年の発売のメルクリンですが、この製品は改良を重ね、最近でも生産されておりました。感じは悪くないのですが、いかんせん古いだけに少々ごつい感じします。
次が1978年のLimaですが、まだレベルの上がる前なのでおもちゃっぽいです。
その次が1979年のLiliputですが、こちらは動輪径が2,000mmになったd,e 型(18輌のみ)をモデライズしているのが珍しいです。
それから、Rivarossi (1988年) が発売されました。この製品はクラッチ(Sドライブ)を装備し、惰性走行ができるという画期的なものでしたが、案の定、このシステムにトラブルが多発し、更には動力伝達に極細の規格外のOリングが使用されているため、経年でゴムが切れると走行不能になるという、模型鉄道には致命的な欠陥があります。
そして2001年、こちらで紹介するROCOから発売されました。
なお、更にその後、Fleischmann BR 18.6 2004年、原型 2007年、そして満を持した形でMärklin/TRIXから2015年にBR 18.5が発売されています。
同社の製品はいわば決定版とも言える素晴らしい出来のように私には見えましたが、何しろとても高いので、簡単には手が出せるようなものではないのが残念ですね。
私も持っていません。
さて、こちらのROCO製品ですが、線路付、化粧箱入りの別格製品としての発売でしたので、当時としても非常に繊細な出来を誇ります。
価格も高かったです。
ROCOはキャブが流線型(波切型)の初期型をモデライズしています。メルクリンと同じタイプですね。
確か、この製品から動輪が金属製になったように記憶しております(間違っていたらごめんなさい)。
それまでのROCOの蒸機は動輪がプラで、ダイカストのFLMやMaeに比べると、シャープさにやや見劣りを感じていましたが、同等以上になりました。
プラ製ですが、塗装の質感もよいと思います。
ただし、この頃の製品ですので、塗膜が非常に弱く、発泡スチロールで傷んでしまうのがとてつもない欠点ですね。
私のも厳重に養生していたのですが、発泡スチロール粉がテンダーに付着してしまいました。
2001年当時としては驚異的とも言える出来です。
特にシャープな先輪/動輪には惚れ惚れしますね。
ローフランジなのも、特別な製品の証です。
走りはROCOらしくテンダーとエンジンの動軸駆動なので、非常に軽いですが、力はあると思います。
レタリングもきれいです。
なお、本製品にはエッチングのナンバープレートも付属します。
J. A. MAFFEIの名板もイカしますね!
ほんとプラではないようです。
透けて見えるボイラー下部。
これで動輪も駆動するのですからすごい。
ROCOの高級機ですので、可動式の転落防止板を装備しています。
なんとなくキャブの後ろが下がっているのが残念です。
風切形のキャブ。
とても100年以上前のスタイルではないですね。
ピッタリはまった窓ガラスや透明のウインドデフレクター、実感的な手すりなど、高級機の面目躍如です。
バイエルン形のテンダー。
こちら方に傷がついてしまいました。
メルクリンから素晴らしいS 3/6が出ましたが、こちらはまだ十分活躍できると思います。
まあ、現地ではROCOも相当高いですけど。
2003/1/12 入線
2014/5/18 記
2019/11/29 再掲
2020/8/15 Blogger用に再構成
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