東ドイツ国鉄 DR 貨物用タンク式蒸気機関車 BR 84 001号機 (Liliput 131200)

 今日は東ドイツ国鉄の貨物用5軸タンク式蒸気機関車 BR 84について紹介します。

 BR 84はドイツ国鉄DRGが開発した貨物用のタンク式蒸気機関車です。

<BR 84 主要諸元>

 型式:1'E1 'h3、バッファ間距離:15.550m、運転重量:125.5t、軸配置:1E1、軸重:18.3t、動輪径1,400mm、過熱式、三気筒、出力:1,049kW、最高速度80km/h

 1935~38年、ドイツ国鉄DRGは輸送力増強のため、ハイデナウからアルテンベルクまでのMüglitztalbahn狭軌線を標準軌へ改軌しました。

 新線には、本線で半径140メートル、支線で約100メートルの半径があり、また速度70 km/hが設定されましたが、DRGが保有する5軸重タンク機BR 85およびBR 95は、20トンという高い軸重のため使用できませんでした。

 そこで本機が開発されることになったそうです。

 1936年、ほぼ同規格のBMAG社の3気筒式とOrenstein&Koppel社の2気筒式が、それぞれ2輌試作され、比較の結果、BMAG社が採用され、1937年にBR 84 005-012の8輌が製造されました。

 なお、Orenstein&Koppel社製の2両もBR 84 003-004となりました。

 BR 84は、戦争の終結までMüglitztalbahn線で活躍し、戦後は東ドイツ国鉄DRに継承されました。

 しかし構造が複雑で取り扱いが困難、また急曲線対策のフランジレスの第三動輪が脱線しやすかったこともあり、1958年には全車が運用を離脱し、最終的には1961-65年に廃車になりました。

 時期が早かったためか、BR 84は保存されませんでした。

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe 84より引用、参照いたしました。 

 さて、運用地域や期間が限られ、またDBで使用されなかったためか、Modellbau-Wikiによりますと、BR 84の模型は、長年1963年初回生産の古いPiko/Hruska製品しかありませんでした。

 そんな中、こちらで紹介するLiliputの製品が、2004年に発売されました。

 その後、製品化されておりませんので、現在入手できる唯一のBR 84ということになります。

 全体も繊細で、ダイカスト製の車輪の感じ、つや消しの塗装や赤の色調など、いかにも新Liliputらしい製品に思います。

 以前の同社の製品は、走りの方はいまいちでしたが、新生Liliputの設計による製品だけに、動きの方は至ってスムーズです。

 上記、Modellbau-Wikiによりますと、同社製品らしく、バリエーションが多数出ているようです。

 ただし、日本ではまず見かけることのない機種だと思います。

 結構高いですしね。

 上記の通り、本機はBR 85やBR 95が使えないために作られたものですが、ラック線を粘着式に転換したHöllentalbahn用のBR 85も同じ10両です。

 用途が限られるため両数が少ない1E1式のタンク機、それも互換性のない三形式も整備するのは、あまり合理的ではないですね。

 1D1のBR 93やE形のBR 94は使えなかったのでしょうか?

 こちらも恐らくですが、中国の海龍製だと思います。

 弁装置周り。

 最近の製品は本当に良くなりましたね。

 動輪は金属です。

 と言いますか、最近の欧州型蒸気機関車でプラ製動輪のものは、ほとんど見られなくなりました。

 キャブ周り。

 レタリングはきれいですね。

 キャブ下の配管はごついです。

 反対側。

 第三シリンダがよくわかります。

 シリンダーブロックのメーカーズプレートも最近の製品は常設になりました。

 斜めロッドの赤は目立ち過ぎのような気がします。

 キャブ横の文字は”Deutsche Reichsbahn"です。

 DRGなのか、DRなのか、見分け方は難しいですが、ナンバー下の赤丸は戦後機にしかないような気がします。

 戦後機のような密閉キャブ。

 バタフライスクリーンの形状は実感的ですが、基部は黒では?

 バックビュー。

 はしごは金属製のため、強度もあります。

 よく見るアングルから。

 太っちょな感じが、よく出ているように思います。 

 ところでLiliputの通例で、BR 84の箱も実に取り扱いがしにくいブリスター方式です。

 特にブリスターがふにゃふにゃなので私は大嫌いです。

 早速、IMONの箱に交換しました。

 傷防止にブリスターと車体を挟んでいるシートですが、経年で油が滲んでくるという大問題があります。

 幸い、塗装はやられませんでしたが、運が良かっただけの可能性が高いと思います。

 天賞堂製機も同様ですが、このシートは早急に取り替えることをお勧めします。

 こういう点からも、欧州型の箱は長期の保存には全く不向きで、害しか無いものが多いですね。

 それはともかく、実物は活躍の場所が限られますが、模型の世界では客貨両用で遊べそうです。

2005/9/26 入線

2020/8/6 記


 

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