ドイツ連邦鉄道 DB 蒸気動車 BR Ci dT 8 (TRIX 22033)
今回はドイツ連邦鉄道 DB の蒸気動車 CidT 8を紹介します。
CidT 8は元バーデン大公国邦有鉄道の蒸気動車 121aです。
<BR Ci dT 8主要諸元>
バッファ間距離: 11.612 m、固定軸距: 5000 mm、運転重量: 24.50トン、摩擦軸重: 14.50t、最高速度: 60 km/h、出力: 59 KW、動輪径: 1000 mm、2気筒、座席: 40、全3等
20世紀の初頭、王立ヴュルテンベルク邦有鉄道(K.W.St.E.)では支線区の輸送改善に蒸気動車の導入を計画しました。
最初の一輌はフランスのドコービル社(軽便用蒸気機関車で有名)に発注され、続いて6両をEsslingen機械会社に発注しました。
これらはフランス製のボイラーを搭載しておりましたが、成績が良くなかったのか、1905年、K.W.St.E.の主任技師Eugen Kittelが設計したより効率的なボイラーを搭載した車両がさらに10輌をEsslingenで製造されました。
Kittelのボイラーは成績が良かったため、最初のシリーズもボイラーの載せ替えを行ったようです。
こんなこともあり、この蒸気動車は"Kittel-Dampftriebwagen" と呼ばれることが多いようです。
これらは車番DW1~17を付与されました。
同じ1900年頃、やはりローカル線の蒸気機関車列車に代わる蒸気動車を検討していたバーデン大公国邦有鉄道(Bad.St.B.) が1914~15年、類似の機種を8輌製造しました。121a形、Bad.St.B. 1000〜1007
ローカル線において、付随車を3輌まで牽くことができる蒸気動車は、非常に信頼できる存在だったようです。
1925年のドイツ国鉄 (DRG) 発足により、蒸気動車にはCi dT 1~8が付与され、カールスルーエ鉄道局に割り当てられました。
なおヴュルテンベルクの車両はCi dT 9~14を割り当てられました。
これらのうちDBにはCi dT 1と8の2輌が継承され、1が1951年に、そしてこちらの8が1953年に退役しました。
なお、1932年に私鉄に販売された6は、戦後、東ドイツ国鉄DRに継承され、DT 151として1956年頃、廃車になったそうです。
ヴュルテンベルクの車両はより短命で、戦前の段階で廃車、売却されました。
なお、バーデンの車もヴュルテンベルクの車も戦後フランスへ行き、使われたそうです。
以上、Wikipedia 独語版 "Württembergische DW 1–17"、"Badischer 121a"、そしてメルクリンHP "Dampftriebwagen | Gauge Trix H0 - Article No. 22033 Steam Powered Rail Car." より、引用、参照させていただきました。
それで Modellbau-Wiki によりますと、"Kittel-Dampftriebwagen"のHOの模型は、1978年に発売されたMerker und Fischer のキットが一番最初です。
M+FのキットはRaimoが引き継ぎましたが、こちらも1983年に破綻したようです。
なお、蒸気動車のキットは見たことがありませんが、同社のキットは1980年代に見たことがあります。
それでHO量産製品の完成品は、こちらで紹介するMärklin/Trixが唯一の存在です。
最初に発売されたのは、1995年でWürttemberg仕様でした。
その後、DRGが濃緑と赤/クリームの2種、こちらのDB仕様が2008年に出たようです。
これらの基本形は一緒ですが、元々別の車ですから、屋上などきちんと作りわけられています。
小さなモデルですが、精密感は大変高いですね。
ただし実車の写真はほとんどありませんので、よすがを偲ぶ手段もほとんどありませんが。
私のはもっとも欲しかったDB仕様です。
それもTRIXの二線式で、これは大変珍しいと思います。
屋根上は大変細かく作られていますね。
<各部のディテール>
ロッド周りが平板状に見えなくもないですが、小さなシリンダーやロッド周りなど、細かく出来ています。
3の周りの塗装がやや傷んでいますが、レタリングや塗装もとてもきれいです。
スポーク車輪もいい感じですね。
ライト横のディテールなどすごいです。
タンクのレベル計もモールドされていることに初めて気づきました。
前面の手すりは金属なのでシャープです。
ステップも細かいです。
終点で転回しなくても良いようですが、運転席は後方にはないでしょうから、視界は悪いですね。
この写真では、確かに後方には運転装置はありませんね。
前面のディテールはすごいと思います。
さて、こちらは珍しく某オクで入手しました。
ご覧のように状態がとても良かったのですが、残念ながらベンチレーターが1個欠品でした。
取り急ぎ自作しましたが、やはりいまいちです。
部品を取り寄せようにも、出来ませんでした。
ところでこのトルペード形のベンチレーター、日本形の部品に合いそうなのがありました。
いずれ付け替えてしまおうと思います。
2010/10/9 入線
2020/8/22 記
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