ドイツ連邦鉄道 DB 急行用蒸気機関車 BR 18.6 620号機 (Fleischmann 4118)

 今回はドイツ連邦鉄道 DB の急行型蒸機 BR 18.6 を紹介します。

 BR 18.6は、戦後、DBが性能向上を図るべく、バイエルン王国邦有鉄道(K.Bay.Sts.B)の名機 S 3/6(DRG BR 18.4)のDRG生産型 BR 18.5をボイラー新造を含む、全面更新したものです。

<BR 18.6主要諸元>

 型式 2'C1' h4v、バッファ間距離:22.862 m、運転重量:96.12 t、軸重:18.1 t、最高速度:120 / 50 km/h (前進/後進)、出力:1,950 PSi、動輪径:1,870 mm、過熱式四気筒、ボイラー圧力:16 bar

 1920年のDRG発足前、各邦国(王国)はこぞって四気筒のパシフィック(2C1軸配置)の急行型蒸機を製造しましたが、S 3/6は中でも一番の成功作と言えるでしょう。

 これらはDRGにより、BR 18に区分され、最高時速 120km/hの高性能を誇るS 3/6は、BR 18.4となりました。 

 バイエルン時代の1908年から製造されましたが、後継機となるべきBR 03の開発が遅れたことから、他の邦有鉄道パシフィック機 BR 18の中で唯一生産が継続され。1931年まで、合計159輌が製造されました

 BR 18.4とBR 18.5は、F-Zug Rheingoldを牽引するなど、DRGの代表的急行用機関車として、縦横無尽の活躍をしましたが、やがてより高性能な制式機BR 01やBR 03に取って代わられたようです。

 第二次世界大戦の敗戦後、DBは旅客用蒸機のボイラー新造を含む大幅な改造(Umbau)による高性能化を図りましたが、BR 01やBR 01.10、BR 03.10、BR 41に混じって、邦有鉄道時代の基本設計の古いBR 18.5もその一員として選ばれました。

 結果的に、1953-57年の間、30両が新造のボイラーと火室に交換、運転室と加減弁が改良されてBR 18.6となりました。

 ただし、BR 01.10のようなローラーベアリング化改造までは行われなかったようです。

 上がBR 18.6(FLM)、下がBR 18.4 (ROCO)です。

  更新により、ボイラーが太くなったため、イメージが大幅に変わったことがわかると思います。

 BR 18.6は、より新しく、強力で、重軸重のBR 01と同程度の性能を誇り、さらには非常に燃費が良かったようですが、なんと給水ポンプの振動のため、ボイラーに亀裂が入るという致命的な構造上の欠陥により、1961-65年までに引退してしまいました。

 現在、静態機が何両か保存されています。

 以上出典:Wikipedia日本語版 王立バイエルン邦有鉄道S3/6型蒸気機関車 より、引用、参照いたしました。

 さてS 3/6の模型ですが、Modellbau-Wiki によりますと、HOでは、古くからLima、Märklinから発売されておりましたが、更新型のBR 18.6は大幅にスタイルが異なるためか、この両社からは発売されず、TRIXの製品が最初のようです。

 ただし、1960年代のものだそうですので、私は見たことがありません。TRIX EXPRESS(DC 3線式)のため日本にはほとんど入らなかったのではないでしょうか?

 まともなスケールモデルは、2000年のRivarossi、そして2004年のFleischmann製品となります。

 残念ながら、フロントナンバーにずれがあります。

 もっとも写真は実物の何倍にも拡大されておりますので、模型でははっきりとはわかりませんが。

 Rivarossi製品は、スタイルは良好で、同社製品らしく繊細な出来でしたが、動力がゴムベルト駆動というおよそ高額商品には似つかわしくない大変貧弱なものでした。

 このゴムベルトはBR 61などでも使われておりましたが、Oリングとは全く異なる直径1.5mmくらいの貧相なものです。

 滑りますし、ゴムですので、経年劣化で劣化し、切れてしまうことは間違いありません。

 特殊サイズなので、JIS規格のOリングは使用できないので、切れてしまった場合には走らなくなってしまいます。

 これ以外にもゴム動力は、非力な模型用モーターにテンション方向の余計な力がかかるなど、使用上は悪い事だらけ、唯一設計側にとっては、ギアが不要なだけコストダウンが図れ、伝達軸を自由に配置できるというメリットがあるものです。

 少なくとも私は最も嫌いな駆動方式ですね。

 その他、Rivarossiの車輪がプラなのは、現在の目で見るとやや見劣りします。

 その点、こちらのFleischmann製品はいつのながらのFleischmannタッチで、大変繊細な出来ですし、伝統のテンダードライブの走りはスムーズと思います。

 モーターは縦型ではなく、いわゆるビューラータイプのようです。

 私のはアナログですが、DCCサウンド仕様も早くから発売になっております。

 サウンド付きの三線仕様も発売されているようですが、全く見たことはありません。

 惜しむらくは2004年と言えば、ユーロが非常に高かった時期であり、高額なためか日本には、あまり入らなかったようですね。

 そのせいか、FLMのBR 18.5シリーズは中古も皆無でこそないものの、ほとんど見掛けないですねぇ。

 もっともFLMのBR 03より後の蒸機の中古は、ほとんど出ないですけど。

 また、その後生産された原型 BR 18.5も、他社製品に比べるとかなり高めの価格設定ですし、何故か黒/赤塗装がないので手が出ないですね。

 第一、FLMはHOの蒸機の生産をほぼやめてしまったようですし。

 私はたまたまドイツの模型屋がバーゲンをやっていたので入手できました。

 そうでなければ、手は出せなかったでしょう。

 この角度からの写真は実物だけでなく、模型もとても少ないと思います。

 こうしてみると炭水車の増炭覆いで、高さが相当高くなっているのがわかります。

<各部のディテール>

 シャープなダイカスト動輪、ステップ、実感的な色の弁装置など、見どころが豊富です。

 ボイラーの配管類も実にカチッと仕上がっていますね。

  NEMフランジですが、それほど目立ちません。

 BR 18.6のキャブは原型のままと思いますが、制式機のような形状をしていますね。

 転落防止板はROCO製品のように可動にはなっていません。

 上記の通り、Fleischmann製品はこの写真のように配管、ランボードなどの直線がカチッとしているのがいいですね!

 もっと価格の高い天プラやBRAWA製品でも、案外直線が出ていないものが多いもので。

 

 シャープなダイカスト動輪は、Fleischmann製品の何よりの特徴と思います。

 また赤塗装が実にいい感じです。

 レタリングも美しいです。

 1960年11月15日というのは検査を行った日付でしょうか?

 風切型ではない標準型のキャブですが、なかなか似合っています。

 これだけアップしても耐えるのはすごいと思います。

 ウインドデフレクタも透明パーツにしたくなりますね。

 包み紙の繊維がいっぱいついてしまっていますね。

 邦有鉄道形式のテンダー。

 ターンテーブルに乗せるため、全長を縮める必要があったためか、炭水車の台車が前後で軸距が異なります。

 これはバーデンIVhになどにも見られますね。

 前側は台車のようですが、後方は台枠に固定されているようです。

 模型はFleischmannの標準で、炭水車にモーターを装備し、駆動します。

 機関車駆動はありません。

 炭水車のはしごは、上部のつかみ棒が曲がってしまうので、この際、車体から取り外して保管することにしました。

 原型と比べると、太くなったボイラーがよくわかります。

 スマートですね。

 この角度からが一番かっこよく見えるかも。

 上記のようにBR 18.6は、実機は必ずしも成功したわけではありませんが、模型の世界では縦横に活躍できるだけのパフォーマンスを持っておりますので、大切にしてやろうと思います。

 2011/2/24 入線

 2014/8/24 記

 2019/12/6 写真全更新、加筆の上、再録

 2020/5/20 Blogger用に改変

 2020/8/15 写真追加、文章一部追加


 

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