東ドイツ国鉄 DR 旅客用蒸気機関車 BR 23.10 1020号機 (ROCO 63232)
今回は東ドイツ国鉄 DRの戦後製急行旅客用蒸気機関車 BR 23.10を紹介します。
BR 23.10は戦後生まれの急行用蒸気機関車です。
BR 23.10 主要諸元
型式:1'C1 'h2、バッファ間距離:22.66m、運転重量:87.2t、軸重:18.3t、動輪径:1,750mm、軸配置1C1、過熱式二気筒、出力:1,250kW、ボイラー圧力:16bar、最高速度:前進 110km/h、後退 50km/h。
1955年から1959年まで合計113輌が製造されました。
ドイツ国鉄DRGでは、欧州大陸で最も数多く生産された旅客用蒸気機関車BR 38.10-40を大量に運用しておりましたが、流石に1940年代になると老朽化も目立ってきました。
そこでDRGは、代替機として制式機BR 23を開発したのですが、戦争の勃発により、僅か2輌の試作にとどまりました。
しかしながらP 8代替機の需要は根強く、戦後東西に分割されたドイツは、それぞれP 8の代替機としてBR 23の発展形を独自に製造しました。
DBはBR 23、そしてDRはBR 23.10です。
なぜかBR 23そのものを生産することはありませんでした。
この両者はP 8代替という同一の目的ながら、運用の差異もあって、外見上は全く似ても似つかぬスタイルをしています。
唯一、軸配置と動輪径だけが同じです。
あと生産数もDB 105両、DR 113両と似通っていますね。
それで、東独で作られたBR 23.10はデフとボイラー前部に設置された給水予熱器が、いかにもDR機と言ったスタイルをしています。
私的には、あれって、いまいち好きになれないんですよね。
主に軽~中急行列車の運用に入れられ、1977年まで活躍しましたが、そのうちの一両、最終号機のDR 35 1113は東独の燃料危機に際し、現役復帰し1985年まで使われたそうです。
なお1970年1月1日のコンピューターナンバー化により、BR 23.10はBR 35.10となりました。
DR蒸機としても最末期まで使われたこともあり、現状、6両が保存されています。
うち1両は動態保存のようですね。
以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe 23.10 より引用、参照しました。
さて、ROCOのDR 23.10ですが、Modellbau-wiki によると2001年の初回発売のようです。
こちらの1020号機は2003年の発売とありました。
ROCOの蒸機の現在の仕様……、機関車/炭水車両駆動、炭水車プラボディ、金属車輪……、であり、ご覧のように繊細な出来です。
ROCOの上記の通例で、持った感じは軽いですが、平坦牽引力には特に不足は感じませんでした。
走行音も静かで、サウンド化には向いていると思われ、サウンド機も発売されておりました。
2019年に閉店したEGSでも、結構安く売っていましたね。
LEDになる前の時代の電球仕様の製品なので、DR新製/Reko機の特徴であるランボードへ埋められた前照灯は、暗いのが難点です。
金属車輪がいい感じです。
DRの戦後機はDBの戦後機のようなあっさりとしたボイラーではなく、むしろEinheitsに似ていますね。
ところで、この機関車のキャブ側面には、"Jugentlok V. Parteitag" とあります。
Webで調べたところ、東ドイツの党大会で展示された若い労働者からの寄付による機関車らしいことがわかりました。
まあ、全体主義国家ではよくあるあれですね。
ただし、説明がつけられた機関車は23 1020ではなく、23 1023でした。
とは言うものの、1020 ”Jugentlok V. Parteitag"はROCO以外からも、デカールが発売されているようなので、実在するのかもしれませんね。
相変わらず繊細なディテールです。
車輪の赤が、車輪によりやや違っているのはご愛嬌と言ったところでしょうか?
レタリングもきれいです。
キャブの文字は、黒く塗ってしまってもいいですが、仕上がりの統一感を出すのが難しいですし。
キャブはほぼEinheitsですね。
テンダーの梯子の形状が、DRGやDBのものとは異なっていますね。
テンダーはDRスタイルの2'2' T28です。
台車も独特の形状ですね。
プラ製ですが、誰かさんが言っているように安っぽい感じはないですね。
時代背景や牽かせる車両を考えると使いみちが難しい機関車ですが、別段こだわりのある機種ではないので、うちではDBの客車を牽かせて楽しんでいます。
2003/4/27 入線
2020/6/14 記
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