ドイツ国鉄 DRG 貨物用タンク式蒸気機関車 BR 86 522号機 (Fleischmann 4088)

 今回は、ドイツ国鉄DRGの代表的貨物用タンク機関車 BR 86を紹介します。

 BR 86はドイツ国鉄DRGが開発した制式タンク機関車(Einheitstenderlokomoyive)です。

<BR 86 主要諸元>

 型式:1' D 1' 2ht、バッファ間距離:13.82m、運転重量:88.5t、軸配置:1D1、軸重:15.2t、動輪径:1,400mm、過熱式二気筒、ボイラー圧力:14 bar、出力:758kW、最高速度:70~80km/h

 1928~1943年までの間、多くの会社により775輌が製造されました

 車番は飛び飛びで001~1001(私鉄国有化編入機)までです。

 邦有鉄道時代のタンク機は別とすると、最も多く作られたタンク機になりますね。

 言い換えれば、それだけ邦有鉄道機が多く、代替機種の整備が進まなかったのかもしれません。

 実際、BR 86のDBでの引退は1974年であり、もっと古いBR 94と同じでした。

 DBではBR 86は亜幹線の客貨両用として、また入換用機として使われました。

 最初に出た457号機や739号機は標準型ですが、こちらの522号機のように、ディスク先輪や更にキャブ窓を省略した戦時型ÜK(Über Krieg)もあります。

 DRに残存したトップナンバー001号機以下、数輌が残っています。

 有名なのはDBの動態保存機BR 86 457ですね。

 「世界の車窓から」でも取り上げられたように、各地で運転されていましたが、残念なことに2005年のニュルンベルク交博機関庫の大火で炎上してしまいました。

 BR 01 150やBR 23 105同様、かなりひどい状態で先が危ぶまれましたが、幸いなことに、スクラップになることはなく、修復がなされました。

 ただし損傷がひどかったためか、静態保存機となっているようです。

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe 86 より引用、参照いたしました。

 それで模型の方ですが、Modellbau-Wiki によりますと、多用された機種だけにHOでは複数社が模型化しています。

 量産模型で最も古いのは、1951年の発売のMärklin製品です。

 その次もMärklin製品で1971年の初回発売になります。

 こちらは大変長命な商品で、長年に渡って生産が継続されました。

 近年では、2013年にmfxフルサウンド仕様が追加されております。

 私は所有したことはありませんが、いかにも1980年代の同社製品らしいしっかりとした作りに見えました。

 次は、1977年頃のPiko製品だそうです。

 本品は1990年代にBülerモーターに更新され、Gützoldから発売されました。

 同様にリニューアルされたBR 64共々持っていましたが、BR 86の方が走りが軽かったですね。

 ただし、プラ製ロッド、ライトがダミーなのがその当時としても不満で、1994年に手放しました。

 そして次に発売されたのが、1993年に発売されたFleischmann製品です。

 本品はBR 86の決定版とも言えるモデルで、実車の低い雰囲気がよく再現されておりますし、すばらしいディテール、ばらつきはあるものの、軽やかな走りを誇ります。

 ただし、同社伝統のシャーシー一体型円形モーターなので、走行時のギアノイズが高いという問題があります。

 同社からは多数のバリエーションモデルが発売されており、2010年には、キャブ窓を省略した戦時型ÜKが、そして2009年にはデジタルサウンド仕様も追加になっているようです。

 円形モーターはデジタル制御には向かないのですが、このデジタルサウンド仕様のモーターが円形モーターから缶モーターに換装されているのか、さっぱりわかりませんでした。

 さらに2019年、ROCOから新規製品が発売されておりますが、これについては全くわかりません。

 Fleishchmannとの経営統合がありましたし、Fleishchmann製は2014年製品が最後のようですから、BR 36のように同じものかと思いましたが、ROCOのHPで大々的に宣伝しておりますので、全く別のブランニューモデルかもしれません。

 いずれにしても、ここ数年間の欧州型模型事情にはとんと疎いので、このあたりご存じの方がいらっしゃいましたら、どうかご教授賜りますよう、何卒よろしくお願いします。

 それはともかく、こちらで紹介する522号機は2001年の発売です。

 実車は1939年の誕生のようで、先従輪がディスク、キャブ窓の省略なしという準戦時型になっております。

 それ以外、外見的には灯火を除き、最初に出た4086と変わらないように感じます。

 弁装置周りはいつもながらのシャープな出来栄えですね。

 ディスク式の先輪は戦時型ÜKの特徴だそうです。

 Fleischmann伝統のダイカスト動輪はホントシャープな出来ですね。

 配管類もビシッと直線が出ているのが気持ちいいです。

 とは言いましても実車はもう少し、曲がっているようにも見えますね。

 キャブの標記も細かいですが、正直な話、DBマークがなくて、文字だけだとDRG、DB、DRの区別は難しいですね。

 私の場合は、逆手にとって、何でも牽かせていますが。

 バタフライスクリーンが黒の成形なのは、現在ではちょっと見劣りするかもですね。

 本機は、今では殆ど使われていないNEM 6ピンプラグを搭載しています。

 とは言うものの、円形モーターはデジタルパルス制御とはあまり相性が良くないので、このままデジタル化してスムーズに走るのか、よくわかりません。

 DRG仕様なので、前面及び後面は二灯です。

 もう入手してから15年も経つのですね。

 上記のように、この製品は1993年の発売ですから、もう27年も前の製品となるわけですが、今でも十分通用すると改めて思いました。

  しかし、2019年にROCOが発売した製品が、完全新規だとすれば、こちらはもう入手できないのでしょうね。

 本当に出来が良く、また、アナログ環境ではよく走りますし、客貨両用に使い道の広い機関車だけに、なんとも残念な気がしますね。

2005/4/29 入線

2020/3/9 記

2020/5/20 Blogger用に再編集

  

 

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