ドイツ連邦鉄道 DB 旅客用電気機関車 BR E 16 010号機(ROCO 63621)

 DB BR E 16は、戦前に誕生した旅客用電気機関車です。

<BR E16 主要諸元>

 バッファ間距離:16.3m、運転重量:110.0t、軸配置:1'Do1'、軸重:20.1t、動輪径:1,640mm、駆動形式:片側ブフリ式、連続出力:2,020-2,655kW(こちらの10号機は2,020kW)、最高速度:120km/h

 DRG BR E16は、1926-27年、1932-33年の間、合計21両が製造され、主に南部ドイツで1980年まで使用されました。

 現在、4両が保存されているようです。

 ドイツは世界最初に電化鉄道を走らせた国ですが、電化そのものの進展は第一次世界大戦等の影響で遅れました。

 それでも南部ドイツやシュレージェン(現ポーランド)は戦前の段階で電化されており、電気機関車や電車が使われていました。

 Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 16 によりますと、

「1920年代半ば、バイエルングループ(著者注:DRG Bayern Gruppe)はミュンヘン周辺の大規模な電化計画を実施した。これに応じて、1926年以降、急行列車サービス用にES 1シリーズの電気機関車が調達された。同時に調達されたEP 2シリーズの機関車との部品の共通化を可能な限り確保するために、主電動機を1つのみ開発することに決定し、そのうち2つはEP 2シリーズに、4つはES 1シリーズに使用された。これら4つの主電動機のため、最終的には、従来の共通ロッド駆動ではなく、単軸駆動が選択された。選択はブフリ駆動に落ち着くが、E 16はそれを搭載した唯一のドイツの機関車シリーズのままであった。しかし、スイスとフランスでは、ブフリ駆動ははるかに広く普及していた(たとえば、SBBの Ae 3/6  I )。

性能試験では、600トンの列車が10‰の勾配で最大6.5分で時速55kmまで加速することが求められました。450トンの列車も同様に、最大3分で時速55kmまで加速する必要がありました。

最初の5両の機関車は1922年に発注されたが、路線の電化が遅れたため、最初の機関車の納入日は1926年5月に延期された。最初の6両の機関車は、バイエルン電気機関車のクラス体系に従って当初ES 1と指定され、1927年のDR番号計画でE 16に再番号付けされた。最初のシリーズ(E 16 01–10)は1927年半ばまでに納入され、2番目のシリーズ(E 16 11–17)は1928年から1929年の間に納入された。[ 1 ] [ 3 ]」

以上引用終わり。

 なお、E 16は製造に伴い、出力がアップしています。

E 16 01-10: 2,020 kW

E 16 11-17: 2,400 kW

E 16 18-21: 2,660 kW

 E 16は、ミュンヘン周辺の電化路線で急行列車を牽引するために使用され、ミュンヘン中央駅、フライラッシング、ローゼンハイム、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンの各車両基地を拠点としていました。

 しかしながら1960年代半ば以降、E 16は次第に優等列車から撤退し、最終的に副次的な運用に用いられるようになりました。

 上記の通り本機は、南部ドイツで活躍したようで、何かの本でザルツブルク-ミュンヘン間の急行列車を牽いていたという記述を見たことがありますし、EJの別冊でTEE客車を牽いた写真もありました。

 E 16は、戦災で11号機と13号機の2両、戦後の事故で12号機の1両の計3両が廃車となりましたが、残りの18両は比較的長命であり、1968年に全車コンピューターナンバー化され、BR 116となりました。

 しかし動力近代化は急であり、その5年後の1973年から1980年にかけて、これらのE 16は徐々に運用停止となり、1980年1月31日には最後のBR 116である116 009号機が運用停止となりました。

 以上、Wikipedia 独語版 DR-Baureihe E 16 より、引用、参照いたしました。

 それで模型の方ですが、Modellbau-wiki Bayerische ES 1によると、E 16のHOの量産製品は、ROCO(初代 1976年)、ROCO(二代目 2000年)だけのようです。

 その他、少量生産品としてM+F、Lemacoからも発売されていたようです。

 ROCOの初代製品は1976年の製品であり、1980年のカタログには載っていたものの、売っていませんでした。

 一方、M+Fは見たことがありません。

 同社製品ですので、ホワイトメタルだったかもしれませんね。

 というわけで、私にとっては欲しい機種ながら、入手できない状態が長く続きました。

 そんな中、1998年にある方から、初代製品をお譲りいただきました。

 それがこちらです。

 待望の製品でしたが、何しろ1970年代半ばの製品です。

 車体や各部の出来は大時代的ですし、当時のROCOゆえ、塗装やレタリングもお世辞にもきれいではありません。

 また走りもよくなく、走行時目立って揺れるのも気になりました。

 ということで、満足の行く状態とはかけ離れておりました。

 そんな中、2001年にROCOが完全新製品として発売しました。

 本当はEp. 4仕様が欲しかったのですが、待望の機種故、たまらずドイツに発注しました。

 そして期待に違わぬ出来でしたので、新E 16入線に伴い、ROCOの旧製品は手放しました。

 流石に2000年代製品だけあって、出来は良いと思います。

 車体も繊細ですし、パンタも昔のものとは全く違い、大変シャープです。

 初代製品は、なにか車体が浮いたような感じがありましたが、こちらはどっしりとしているのも好感が持てます。

 特筆すべきはシャープなダイカスト動輪です。

 同社のE 17やE 18は良い出来なのですが、プラ輪芯です。

 差異は際立っていると思います。

 E 16は、ドイツ機では唯一の片側ブフリ駆動機なので、軸受形状が左右側面で全く異なるのが面白いですね。

 銅線の表現もきちんとされています。

 ほんとシャープなダイカスト動輪が映えますね!

 これでももう約四半世紀前の製品なのですから、当時の欧州製品のレベルの高さがうかがい知れますね。

 戦前製電気機関車の顔ですが、E 75やE 91とは形状が異なります。

 リベットはいい感じです。

 運転台前面手すりは、色と良い形状といい、今百ですね。

 側面の手すりも変形してしまっています。

 ほんとシャープなパンタですね!!

 かっこいいです!

 Ep. 3仕様で、ボディカラーは初代と同様、かなり濃い緑色(Flaschengrünと言うのでしょうか?)です。

 その後、Ep. 4のBR 116も入手できましたが、こちらは同じ緑でももっとずっと明るい色になっています。(Chromeoxide Grün) 

  ただし、残念なことに2000年代初期製品のため、ボディの塗装が僅かに発泡スチロールの害を受けてしまいました。 

 あと今回、撮影して初めて気づいたのですが、一位側の上部ヘッドライトのカバー部品が欠品でした。

 購入して17年も経ってから初めて気づくとは……、情けないですね。

 ROCOに部品不足はつきものとは言え、がっかりですよ。

 駆動方式は、通常のカルダン駆動で、4軸を駆動します。

 走りは普通であり、あまり力不足は感じません。  

 これからも活躍させようと思います。

<追記>

 E16の車体の外し方。

 当方は責は負いません。くれぐれも自己責任でお願いします。

 無理な作業は破損を招きます。

 もし、実施される際には、添付の説明書を熟読して、慎重にお願いします。

 それで、E16の車体を外す方法は、通常の製品とは違います。

 車体中央部裏側のマイナスネジを車体と直角方向になるまで回すと、ボディが浮いて、爪がシャーシーから離れて分解できます。

(TRIXのBR 98.3グラスカステンと同じです。)

 この際、ネジを回す方向は写真の通り、片方です。逆方向には回りませんので、注意してください。

 また、車体の前後にもボディから伸びた爪があります。

 華奢なので、破損しないように慎重に作業を行ってください

 足回り自体は、通常の製品と同じカルダン駆動ですね。

2018/11/2 記

2019/12/10 写真全面更新、文章修正の上、再録

2020/5/25 Blogger用に再構成

2025/9/24 写真再編成、文章見直し

 

 

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