ドイツ連邦鉄道 DB 急行用蒸気機関車 BR 03.0-2 132号機 (Fleischmann 4103)

 今日は、ドイツ連邦鉄道 DBの急行用蒸気機関車 BR 03について、ご紹介いたします。

 BR 03は、ドイツ国鉄DRGが、BR 01よりも軽量化し、より広い線区で使用するために製造した急行用蒸気機関車です。

 BR 01 133号機の項でも記しましたが、BR 01は優れた性能を発揮したものの、軸重が20tと大きかったことから、使用できない線区が多いという問題がありました。

 そこでDRGがより軸重を低減すべく開発したのがBR 03です。

BR 03主要諸元

 バッファ間距離 23.905m、運転重量 100.3t (123-298)、軸重 18.1t、過熱式二気筒、ボイラー圧力 16bar、出力 1,450kW、 速度 120km/h(001-163)、動輪径 2,000mm

 BR 01と似ておりますが、軽量化を図るため、ボイラーは新しいものに換装され(BR 41にも使われました)、シリンダーも小型化、台枠も改良されているようです。

 あくまで模型の感想ですが、BR 01と比べると、BR 03の方が、ボイラーが細いように見え、またドームの間隔が開いており、更には従輪位置が下がってる分、軽快に見えます。

 しかしながら、BR 03の開発には時間を要し、登場が遅れた結果、間繋ぎとして、本来は製造を中止するはずのバイエルンS 3/6(BR 18.4-5)が製造されることになりました。

 それでも、完成後の評価は高く、1930~1938年までにBR 01よりも多い、298輌が製造されました。車番 001-298

 その後DRGは、流線型の三気筒機 BR 01.10 (BR 01後継機)及び、BR 03.10 (BR 03後継機)をそれぞれ採用しましたが、第2次大戦の勃発により、いずれも生産は計画途中で打ち切られてしまいました。

 BR 03はその優れた性能と、軸重が低い特徴を生かして、BR 01よりも幅広く、ドイツ全土で使用されました。

 第二次大戦の終結後、DBに145輌、DRに86輌、PKP(ポーランド国鉄)に約40輌が引き継がれました。

 DBでは1972年まで、DRでは1980年代まで使用が続きました。

 DR機の中には独自の改良を施されたReko(Re-Konstruction)機も存在します。

 BR 01ほどではありませんが、保存機も存在しております。

 詳しくはいつもですが、こちらをお願いします。

 さて、こちらで紹介するのは、1995年に発売されたFleischmannの製品です。

 この製品と出会ったのは、私が欧州型HOの世界に入って約10年が経過した頃ですが、正直驚きました。

 スケールモデルとして見た場合、それまでのものを遥かに凌駕していたからです。

 Fleischmannの蒸機は、設計が大変古い時代のものが多く、出来も走りも劣るものでしたし、何よりもオーバースケールで1/87よりもかなり大きいこともあり、私は正直な話、敬遠していました。

(BR 01Umbau、BR 50等)

 また、個人輸入など思いもよらない頃、日本ではROCOと比べて非常に高くて、簡単に買えるようなものではなかったこともあります。

 そんなFleichmann製品ですが、1980年のBR 38.10-40あたりからスケールが正確になり、レベルアップしてきましたが、1987年のBR 39、そしてこの製品で完全に他社に対して優位に立ったと思います。

 そういう意味で、BR 03はエポックメーキングな製品と言えるのではないでしょうか?

 この製品の好きなところは、形状にゆがみがないところです。

 ボイラーの手摺は真鍮で直線が出ていますし、パイピング類にも歪みがありません。

 その他の部分もカチッとした仕上がりになっています。

 私感ですが、機械には歪みがないのが当たり前だと思いますが、思いの外、この直線が出ていない模型が多いです。(そう言う意味で私はWTMやマイクロアーマーを好きになれません。皆様よくご存知のように、直線で構成されるべきものが、思い切り歪みまくっているからです。あれには閉口しました)

 プラ製配管類の歪みは、最近のものでもあまりよろしくないものも多いですね。

 特に中国製の製品は天賞堂も含め、ゆがんでいるものが多いように感じます。

 プラ製品を嫌う方の理由の一つがこれかもしれませんね。

 腕の立つ方は直線の配管だけでも真鍮線に変えてやるだけでかなり良くなると思います。

 また強度も上がるのでいいかもしれません。

 

 そう考えると、パイピング破損のため返品してしまったメルクリンのBR 94.5-14は自作すればよかったなぁ。

 あれはLippeに騙されました。

 修理するからと言って返品したら、お金が返ってきてしまって。(涙)

 昔のFLMの蒸機は黒塗装がされていませんでしたが、この製品は感じの良い塗装となっています。

 黒を塗り始めたのは、BR 39からだと思いますが、BR 03は改良されているように感じます。

 この頃の製品について言うと、ROCOの蒸機は最初から黒塗装されておりますが、艶が消えすぎなのと、赤がプラのままなのでいまいちです。

 あとテンダーがダイカストなので、質感が異なってしまいますね。

 メルクリンは艶有塗装で、こちらも独特ですが、テンダーはプラのままでROCOとは逆に統一が取れていませんね。

 なお、Pikoなどもこの頃の製品は黒が未塗装でした。

 さすがに今日では各社とも大幅に改良されていますが、中古品などを買う際には参考にしていただければと思います。 特筆すべきは車輪で、非常にシャープなダイカストなので質感に優れますね。

 この当時、ROCOやPiko、Lima、Rivarossiは輪芯がプラでした。

 メルクリンはすでにダイカストでしたが、実用性第一なのでややシャープさに欠けるところがありました。

 ゆえにFLMのBR 03がすごくよく見えましたね。

 ちなみに現在ではROCOもメルクリンもダイカストで非常にシャープな出来となりましたが。

 ディテールも十分だと思います。

 ただし、繊細すぎるきらいがあり、壊れやすいです。

 またFLMのプラは接着できないので、壊れたときは一大事です。

 私の購入品は前部ステップが折れていました(私だけではなくクレームになった模様)が、きちんと接着出来ませんでした。

 

 レタリングも美しいですね!

 FLMと言えば1950年代から現在でも採用されている3極のラウンドモーター(丸型)が有名ですが、この製品はBR 56、39に続き、缶モーターを採用しました。

 走りが改善されたような気がしますが、同じBR 03でも後の製品(翌年の140号機)はさらに走りが軽くなったように感じます。

 駆動方式は伝統のテンダードライブです。

 好き嫌いが分かれるところですが、私は走りが安定すること、機関車が揺れないことから、この方式の方が好きかもしれません。

 機関車駆動はロッドの精度や位相のずれ、あるいはゴムタイヤの変形や劣化(これが案外多い)により、車体が揺れやすいので。

 ただし、サウンド化するにはスピーカーの場所を確保するのが難しいという問題があり、うちの初期のフルサウンド機003 111-6号機は、キャブの床にスピーカーが取り付けられていますが、これは好き嫌いが分かれるところでしょう。

 さて、このBR 03 132号機は1996年2月にドイツから個人輸入したものですが、19,600円弱でした。(送料等は他と配分して)

 当時、国内の有名模型店では確か49,800円か、52,800円!じゃなかったかと記憶しております。

 前にも書きましたが、この当時の模型鉄道の内外価格差は正直、ひどい物でした。

 不二商扱いのメルクリンなど、アナログ機関車で当時、平気で6万円!とかでしたから。

 マルク換算ではどう見ても2万円しないのに……。

 これは全くの想像ですが、恐らく日本型との比較という意味もあったような気がしますし、消費者が知らないことに出鱈目な価格をつけていたこともあるでしょう。(当時の「高級」洋酒と同様に)

 さて、それから20年近くが経過し、インターネットで世界中の情報を瞬時に見ることが出来る今日、このような悪しき風潮は明らかに変わって来たと思います。

 ただし残念ながら、いまだに滅茶苦茶な価格をつけている業者も見られますね。

 それにしても、ほぼ同時期のKATOの16番のD51が約2倍の価格(38,900円)でありながら、出来の方は明らかにFLMのBR 03が勝っていることからも、プラ製品では日本製はまだまだ欧州勢にはかなわないと思いました。

 さて、それから約20年が経過しましたが、日本のプラ製16番は欧州型HOに比べて、価格と品質面でいかがなものでしょうか?

 私感では、模型として目指すところが違うとは思いますが、格差はより拡大したような気がしますね。

 皆様はどうお感じになられますか? 

  BR 03はUIC-Xなどの戦後型客車よりは、このような戦前型客車を牽いている写真が多いように感じました。

 1996/2/7 及び 2002/2/24 入線

 2014/6/21 記 

 2019/12/4 写真総入れ替え、加筆・訂正の上、20/5/3 再録

 2020/5/20 Blogger用に再編集

 


 

 

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